「小生、トリックの鬼に」横溝正史、創作の舞台裏浮かぶ
伊藤秀樹
名探偵・金田一耕助シリーズで知られる推理作家、横溝正史(1902~81)が、熊本ゆかりの作家で親交のあった乾信一郎(1906~2000)に宛てた240通の書簡が熊本県の所蔵資料から発見された。専門家は、横溝の創作の舞台裏などがうかがえると評価する。
神戸市生まれの横溝は1925年に江戸川乱歩と出会い上京。26年に出版社の博文館に入社し、雑誌「新青年」の編集長を務めた。戦後、金田一耕助シリーズの「八つ墓村」「犬神家の一族」などがヒットし、昭和50年代には横溝ブームとなった。アメリカ生まれで両親の故郷熊本で幼少期から進学で上京するまでを過ごした乾は、雑誌投稿が縁で横溝を知り、大学卒業後入社。自身も新青年の編集長を務めた。
書簡240通は1949年~79年に書かれた。乾の妻から資料の寄贈を受けた県が昨年、企画展を準備するための資料調査で発見した。
72年12月11日付の書簡…