「近畿では一番下」近江が快進撃 大阪桐蔭など破り4強

安藤仙一朗
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(28日、高校野球選手権大会準決勝 智弁和歌山5-1近江)

 湖国に初めての深紅の大優勝旗を――。近畿勢で唯一、夏の甲子園で優勝経験がない滋賀代表の近江は、そんな強い思いを持って快進撃を続けたが、4強で終わった。

 今年で103回を数える大会の歴史で、滋賀県勢は苦戦を続けてきた。

 1府県1代表が定着する60回大会までは、隣の京都との代表決定戦で苦杯をなめ続け、県勢が初出場したのは1953年の35回大会。そこから26年かかって、61回大会での初勝利は全国で最も遅かった。

 大会で県勢の通算勝率は4割強。全国最高勝率(約67%)の大阪を筆頭に、5割を大きく上回る他の近畿各府県の後塵(こうじん)を拝してきた。

 それだけに、近江は同じ近畿地区の代表校にライバル意識を燃やしてきた。

 ベンチ入り18人のうち県内出身者は10人。守山市出身で中軸を打つ新野翔大君(3年)は、「近畿の学校が甲子園で活躍しているのに、悔しい気持ちがあった」と話す。同じ守山市出身のエース岩佐直哉君(3年)も「近畿では一番下」と自覚してきたという。

 だがこの夏、近江は新たな歴史を刻んだ。

 夏の甲子園で県勢は大阪勢に4戦全敗だったが、2回戦で大阪桐蔭を相手に、初白星を挙げた。

 栗東市出身の山田陽翔君(2年)にとっては「特別な試合」だった。大阪桐蔭は3学年上の兄・優太さんの母校。山田君は「自分を育ててくれた地元で、強い相手を倒して優勝したい」と近江を選んだ。この試合、投手として序盤に4失点したが三回から六回を0点に抑え、逆転勝利につなげた。

 準々決勝の相手は神戸国際大付。兵庫勢は全国制覇7度、勝率約6割。昨秋の近畿大会で負けた相手だが、激闘の末にサヨナラ勝ちした。

 4強は20年前の83回大会準優勝に次ぐ成績。2年ながら投打で大活躍の山田君は試合後、泣き崩れた。多賀章仁監督(62)は「(来年の)春夏あるから、必ずここで借りを返そう」と声をかけた。(安藤仙一朗)