米軍撤退、低迷ISにチャンス与えた カブール空港テロ

有料会員記事アフガニスタン情勢

聞き手・笠原真
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 アフガニスタンの首都カブールの国際空港周辺で26日、米兵や市民ら100人以上が死亡する自爆テロが起きました。過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う「ISホラサン州」が犯行声明を出しています。近年弱体化が続いていたISがなぜこのタイミングで事件を起こしたのでしょうか。その背景や今後の見通しについて、過激派組織の動向に詳しい中東調査会の高尾賢一郎研究員に聞きました。

与えてしまったテロの機会

 ――米軍がアフガニスタンから撤退し、タリバンが復権しようとしている状況でISが事件を起こしました。

 バイデン米政権が米軍のアフガニスタン撤退を進めてきた中で、ISホラサン州は自分たちのプレゼンスを高めるチャンスをうかがっていたのだと思います。米軍撤退によりタリバンが再び権力を握りましたが、それは国内に混乱をもたらしました。その結果、カブールの空港に国外退避を求める市民が殺到し、ISが敵視する米兵とタリバンもそこに集まるという状況が生まれました。

 自爆テロを成功させるには人々が密集した状態を狙うのが効果的な上、そこに米兵とタリバンもいれば、ISにとっては「攻撃するならここしかない」という千載一遇の機会だったはずです。

 事件後すぐに出した犯行声明の中で、ISホラサン州は「我々はこうした活動を続けていく」とはっきり宣言しました。ISは本来の拠点だったイラクシリアでも支配地を失うなど全体的に低迷していますが、アフガニスタンでは活動が活発化している傾向にありました。こうした状況を米軍やタリバンが見誤り、ISに復活をアピールする機会を与えてしまったと言えます。

 ――ISホラサン州とはどういった組織なのでしょうか。

 ISに忠誠を誓い、アフガニスタンを拠点に活動している組織です。ISには世界各地に「州」と称する支部があります。しかし、必ずしもしっかりとした指揮系統のもと動いているわけではありません。ホラサン州はもともとパキスタンの武装組織が中心になって作った組織であり、IS本体の指示や、人員によって作られたわけでもないのです。

 ――2019年8月にはカブールの結婚式場で60人以上が死亡する自爆テロを起こしています。

 アフガニスタン国内の一部都市で襲撃事件を起こす中で、タリバンと小競り合いをしたり、少数派でイスラム教シーア派のハザラ人を殺害したりしてきましたが、時折大規模な事件も起こしてきました。しかし全体としては細々と生き残ってきた組織で、世間の注目を浴びることは多くありませんでした。だからこそ今回空港近くで起こした自爆テロは、彼らにとって非常に大きな「戦果」となったのです。

 ――そもそもISやタリバン、国際テロ組織アルカイダはそれぞれどのような点で異なるのでしょうか。

 かつてのアルカイダはアフガ…

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