万波四段、芝野王座に「ファンです」 名言も引き出した

高津祐典
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 井山裕太名人が挑戦者の一力遼天元に勝利した第46期囲碁名人戦七番勝負の第1局は、恒例の大盤解説会がコロナ禍で中止になってしまった。その代わりになればと、ユーチューブ「囲碁将棋TV」でバーチャル大盤解説会を開いた。

 解説は三村智保九段。聞き手は、万波佳奈四段が務めた。万波四段は、7年ぶりに復帰したばかり。「久しぶりなので、おかしなところがあれば指摘してください」と言いながら大盤の前に立ったものの、ブランクはみじんも感じさせなかった。

囲碁名人戦、バーチャル大盤解説会~解説・三村智保九段、聞き手・万波佳奈四段~【第46期囲碁名人戦七番勝負】

 メモを取りながら対局を見守り、立会人の張栩九段や新聞解説の芝野虎丸王座ら、次々と登場する豪華解説陣から名言を引き出していく。

 大盤解説会は第1局2日目の27日午前9時からスタート。封じ手を見届けた三村九段と万波四段が初手から対局を振り返った。続いて、芝野王座がゲスト出演。初対面の万波四段が「ファンです」と切り出し、場を盛り上げた。

 お昼休憩時には、鈴木伸二七段と孫喆七段が「裏バーチャル大盤解説会」を開いた。「初手から投げ場を求めているんですね」と毒舌混じりのやりとりは、まるで漫才のようだった。

 午後は張九段が自著「張栩の捨て石詰碁」(日本棋院)に触れながら、詰碁の奥深さを語った。「全部解けば棋力が上がりますか」と聞く万波四段に、張九段は「碁が強くなる簡単な方法は、碁をもっと好きになること。好きになればいくらでもできます。これはもっと囲碁が楽しくなるための本です」と答えて、万波四段も張九段の詰碁哲学に感嘆していた。

 三村九段と張九段のダブル解説では、張九段が「やりづらい……。大先輩なので」とたじたじになる場面も。劣勢の一力天元が簡単には土俵を割らない粘りを見せるなかで、三村九段ら豪華解説陣の「妙技」が次々と繰り出される。話術と盤上の攻防がかみ合い、大盤解説会の楽しさが詰まった11時間だった。

芝野王座、あえて「悔しさを味わえる場所」へ

 また第1局1日目には、張九段と芝野王座のダブル解説も実現した。

【囲碁名人戦解説】序盤の攻防、優位に立ったのは…(解説・張栩九段、聞き手・大出公二→芝野虎丸王座)

 一昨年、名人位を争った2人。令和三羽烏(がらす)と平成四天王が「魔王」井山名人の対局を解説する構図に、検討室が盛り上がった。

 芝野王座は、前期は名人として椿山荘にいた。井山名人に敗れ、今期も挑戦を一力天元に譲った。

 解説者を務めるのには葛藤もあったという。「解説の仕事は断ろうと思ったけれど、一番悔しさを味わえるのがこの場所かと思って引き受けた」と話していた。

張栩九段&芝野虎丸王座がダブル解説、封じ手、予想は?【第46期囲碁名人戦第1局】

 バーチャル大盤解説会の動画には、ユーチューブの概要欄に各棋士の解説が始まる時間が記してある。時間の部分をクリックすると該当の場面が見られる。高津祐典