決勝で智弁対決、長年の夢が現実になった 高嶋仁の目

前・智弁和歌山監督
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高嶋仁の目

(28日、高校野球選手権大会準決勝 智弁和歌山5-1近江、智弁学園3-1京都国際)

 智弁和歌山の準決勝は中西聖輝(まさき)君に尽きますね。ボールが走っていましたし、投球のリズムもいい。三回に2番打者に与えた四球は余分でしたが、それ以外は文句なしの内容でした。ここ一番のピンチは得意のスライダーで、ちゃんと抑えてくれました。今までで一番いい投球をしたんやないでしょうか。

 投手がいいと、攻撃の流れもよくなります。六回、中西君の安打を足がかりに2点を追加しました。ここは宮坂厚希君、大仲勝海君の1、2番コンビが、いい打撃をしました。少しだけ高く入ってきたボールを中堅から左方向に流し打ったのです。近江の先発・山田陽翔(はると)君は直球もスライダーも切れる好投手です。ハートもいい。攻略するにはこういう打撃しかないという打ち方をしてくれました。

 一回はその山田君の立ち上がりをとらえて、宮坂君と角井翔一朗君の二塁打、岡西佑弥君の適時打で2点を先行。六回の中押しに続き、八回にはだめ押しの1点をとりました。中盤まで接戦となりましたが、攻撃陣はいい流れを維持していると感じます。準々決勝から宮坂君が当たってきたのも大きい。貴重な3、4点目をたたき出したのは大仲君。試合ごとにヒーローが出るのも理想的です。

 それもこれもバッテリーが失点をしっかり抑えているからこそ。決勝も、いい流れで入れるはずです。4番の徳丸天晴君に1本出れば、言うことありませんね。

 智弁学園も先発の小畠一心君に尽きる準決勝になりました。前の打者がスクイズを失敗した直後の3点本塁打。小坂将商監督を救いました。投げては1失点完投。文句のつけようがありません。

 智弁対決の決勝戦。長年の夢が現実となりました。ぼくは日体大を卒業し、智弁学園でコーチと監督をさせてもらい、自分が鍛えた選手たちと一緒に甲子園に出る喜びを知りました。その頃に選手だった上村恭生さん(2005年に46歳で死去)がのちに母校の監督になり、小坂監督はその指導を受けました。智弁和歌山中谷仁監督は、もちろんぼくの教え子です。ぼくは現在、両校の名誉監督という立場でもあります。

 夢のような決勝戦。両校に野球部を作り、厳しくも温かい目で見守って下さった藤田照清・元智弁学園理事長(09年、80歳で死去)も喜んでいると思います。ぼくはバックネット裏から、両校を応援させていただきます。(前・智弁和歌山監督)