「冷や飯」の岸田氏 二階氏と会談後、目の色が変わった

有料会員記事自民

大久保貴裕、東郷隆、松田史朗
[PR]

 自民党総裁選に立候補を表明した岸田文雄氏(64)=衆院広島1区=が28日に広島入りし、地元議員や財界幹部らとの会合で菅義偉首相への対決姿勢を示した。背景の一つには、前回総裁選で敗れてからの「冷や飯」の日々がある。

 「『岸田はもう終わった』。そうした厳しい評価もいただいた」

 26日、国会内で開いた立候補表明の記者会見で、岸田氏は険しい表情で言葉を絞り出した。昨年9月の前回総裁選での敗北。それは岸田氏、そして自民党広島県連にとって、いばらの道の始まりでもあった。

 「自民候補は応援できない。次期衆院選の広島3区に公明候補を擁立したい」

 連立与党公明党側が岸田氏にこう迫ったのは、総裁選から間もない昨年10月のことだ。広島3区は、選挙買収事件の当事者である河井克行元法相の地元だった。あからさまな選挙区の明け渡し要求に岸田氏は難色を示したが、その後、自民党本部からのトップダウンで「公明候補を与党統一候補とする」との調整方針が決まった。

 政治の世界では、権力から遠ざかって冷遇される様を「冷や飯」と表現する。

 「冷や飯は、こんなにも塩味だったのか」。ある県議は、重要案件が地元の頭ごなしに決められる屈辱を味わった。

 ただでさえ、県連内では菅首相に対する被害者意識が強い。2019年参院選の広島選挙区で、河井元法相の妻案里氏の擁立を主導した経緯があるからだ。しかし、支持者からみれば首相も県連も同じ自民党だ。首相と近しい党幹部が「事件は他山の石」と責任逃れに終始する中、「政治とカネ」への不満の矛先は岸田氏に向かい始めていた。

 今年4月の参院広島選挙区の再選挙。自民支持者の多い広島では「勝って当たり前」との楽観論も流れたが、情勢調査では劣勢が伝えられると、岸田氏は選挙戦終盤に地元紙・中国新聞に全面広告を出した。「県民の皆様へ」との題名で始まる約500文字のメッセージ。岸田氏の大きな全身写真とともに「新しい自民党を作り直す」「挑戦にお力をお貸しください」と記した。

 県連関係者の間では「首相がやるべき汚れ役を自ら買った勇気ある行動」などと評価する声が多かったが、地元の支持者から飛んだのは厳しい声だった。

「頭の下げ方が足りない」

 結果は、保守王国での歴史的な敗北。遠く離れた永田町の党幹部らはこう突き放した。「党のダメージではなく、岸田氏のダメージだ」

二階幹事長に直談判 しかし取り合わない党本部

 「政治に対する不信、声が届…

この記事は有料会員記事です。残り726文字有料会員になると続きをお読みいただけます。