12行の「卒業証書」、退職する先生へ 式前日のサプライズに泣いた

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若松真平
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 40年近く教壇に立ち続けてきた橋村政海さん(61)は、今年3月末で定年退職した。

 最後となった学校は、高知県須崎市の市立上分中学校。

 大学を卒業して22歳で教員生活のスタートを切ったのもこの学校だった。

 幼いころは漫画家になりたいと思っていた。

 描いた漫画を出版社に持ち込むなどしたが、大学時代は漫画家として生きていく覚悟は半分しかなかった。

 そんな時、教育実習で教えることの喜びを知り、教師になった。

 美術や図工を教えながら、生徒たちにはこんなことを伝えてきた。

 「大事なのは楽しかったかどうか。楽しければ上手になる。たとえ好きなことを仕事にしなくても、生活の中で役立つことはきっとあるよ」

卒業式の前日に

 最後に担任したのは3年生9人。小さな学校なのでクラスは一つだけだ。

 3月13日に開かれた卒業式で9人は巣立ち、自分も教員生活を終えることになった。

 前日に体育館でリハーサルが行われ、その直後に思いも寄らぬ展開が待っていた。

 マイクを持った生徒が「これ…

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