友が急逝、通夜より仕事優先した社畜 隠れて泣いてた私を救った上司
10年ほど前、芹澤柚衣さんは「社畜」だった。
サービス業のアテンダントで、イベント準備や司会、クレーム対応まで任されていた。
派遣社員として入ったころは早番・遅番とシフト勤務だったが、正社員になると一変。
早・遅通しで朝7時半から夜10時まで勤務することも多く、正社員はサービス残業が当たり前という職場だった。
最初のころは自分のアイデアが採用されたり、お客さんが喜んでくれたりするのが楽しかった。
仕事が積み上がっていくうちに、こなすのが精いっぱいになり、怒られることも増えていった。
立ち仕事で疲れた帰り道、駅のベンチに腰掛けると涙があふれてきた。
今すぐ家に帰って休みたいのに、立ち上がる力が出ない。
周りの人からの「自殺するんじゃないか」という視線を感じたが、涙は止まらない。
悔しくて、歯がゆかった。
休憩中にメールが
そんなある日、休憩中に1通のメールが届いた。
学生時代からの友人が亡くなった、という知らせだった。
きれいで、優しくて、みんなが憧れる人気者。彼女には何度も助けられてきた。
とっさに掃除用具入れを開けて、中に隠れた。
アテンダントのリーダーとして、今の顔は誰にも見せられない。
この感情をなんとか処理しなきゃ、という思いからだった。
そして、同僚が前に話していた冗談を思い出した。
「うちの職場って、腕がもげるとかしないと休ませてくれなさそう」
この腕をもげば、お通夜に行ける。本気でそう思った。
右手で左腕をつかみ、力を込…
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- 【視点】
自らの境遇を発信してくれた芹澤柚衣氏に、まずは敬意を表したい。公言するには勇気が必要だったはずだから。この記事を読んで肩の力が抜けた人はたくさんいるだろう。 「体力の前借り」という言葉にハッとさせられた。これは部活動に励む生徒や学生に
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