学術助成した研究者の活躍を動画で 日東学術振興財団

鈴木裕
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 10~30年前に学術助成した研究者と芸術家の今にフォーカスしたドキュメンタリー動画を、愛知県長久手市の日東学術振興財団(加藤時夫理事長)が初めて制作した。各分野で功績を挙げた研究者の活躍を紹介するのがねらいで、ユーチューブで公開している。

 名古屋工業大学のキャンパスを、黒いリュックを背にした平田晃正・先端医用物理・情報工学研究センター長がさっそうと歩く。その姿に続き、携帯電話が出す電波が人体に与える影響を調べる技術の研究で2005年に財団の助成を受け、現在はその技術を応用して熱中症のリスク予測や新型コロナの感染拡大予測などに取り組む平田氏の研究が社会にどのように役立っているかを映像やナレーションで紹介していく。

 動画「陰ながら世の中に役立っている」を制作した日東工業広報室担当部長の大島伸さんは「今こんなことをしているというリアルな姿を伝えたいと考えた」という。

 公開している動画は4本。工学分野の平田氏のほか、医学分野の関戸好孝・愛知県がんセンター研究所副所長▽法学経済分野の水島朋則・名古屋大学大学院法学研究科教授(国際法)▽芸術分野の山本富章・愛知県立芸術大学美術学部名誉教授を取り上げた。

 関戸氏(01年に研究助成)は悪性中皮腫肺がんの治療薬開発で世界的に知られている。水島氏(11年に海外派遣助成)は、国が別の国の裁判所で訴えられることが無いという主権免除の国際法の専門家として有名だ。山本氏(1989年に海外派遣助成)は現代アート作家として海外でも高い評価を受けている。

 同社広報室の狩谷昇吾さんと一緒に先生たちを訪問し、「37年間で1112件の助成をしてきた中から、とくに基礎研究に取り組んでこられた先生に取材をお願いした」という。いずれも快諾してもらった。

 「地元・愛知の研究にこだわり、会社の本業である電気関係に限定しないで4分野に均等に助成をしてきた。動画が、地道な取り組みを知ってもらうきっかけになれば」と大島さんは期待する。今後も動画を継続して制作していくという。(鈴木裕)

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 日東学術振興財団 配電盤メーカー「日東工業」の創業者、加藤陽一氏が1984年に設立した公益財団法人。愛知県内の大学で独創的な研究をしている研究者と、高専や高校専攻科などの研究プロジェクトが助成の対象。医学、工学、法学・経済、芸術の4分野で、研究助成、海外派遣助成、研究プロジェクト助成について、毎年40~50人を選定している。所在地は長久手市の日東工業本社。