京都国際の164cm、俊足の3年生 私生活でも見本に

吉村駿
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(28日、高校野球選手権大会準決勝 智弁学園3-1京都国際)

 この夏初めての「2番」に座った3年生の松下恵富(けいと)君が、2安打して一人気を吐いた。

 「3人で終わらず、なんとか出塁して、次の中川につなごう」

 六回、9番の岩内琉貴也(るきや)君、1番の武田侑大(ゆうと)君が凡打に倒れ2死。ここで、この日チーム初安打を放った松下君に打席が回ってきた。その回の表には、主戦森下瑠大(りゅうだい)君がピンチを無失点で切り抜けた。流れをつかむため、裏の攻撃は簡単には終われない。

 打席でバットを構える前に、冷静に内野を見渡した。「二塁手が深い位置に守っている。一塁へのカバーが遅れそうだ」。俊足を生かした「一塁方向へのセーフティーバント」が頭に浮かんだ。

 マウンドには智弁学園の好投手、小畠一心君。ファウルで追い込まれる前に、一球で決めたい。小畠君が足をあげた瞬間、バットを寝かし、直球を一塁手の前に転がした。捕球した一塁手、カバーに入った二塁手よりも早く、一塁にヘッドスライディング。スタンドが沸き立った。

 レギュラーの半数ほどを2年生が占める。「頑張っている2年生たちを3年生は支えて、かつ見本になれるように」と心がけてきた。寮生活では、朝6時に起きて、寮の周りの落ち葉やゴミを拾い、私生活でも気を抜かなかった。

 164センチとレギュラーの中では最も小柄。だが「スパイクを履いたら、足が速くなる」と話す俊足を武器に、中堅手として広い守備範囲でもチームを救った。

 準々決勝では2死三塁のピンチで、頭上を襲った飛球を、体勢を崩しながら好捕。この日も七回、わずかに届かなかったが、ダイビングキャッチを試みるなど、智弁学園打線に立ち向かう2年生投手を支えた。

 松下君は、「全国制覇だけを目標にしてきたので、あと二つ勝ち切れずに悔しい。2年生たちは、この悔しさを忘れず、また甲子園に戻ってきて欲しい」。初優勝は後輩たちに託し、甲子園を去った。(吉村駿)