「取り戻したい日常の景色」 都内でミャンマーの写真展

ミャンマーはいま

荒ちひろ
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 ミャンマーで国軍がクーデターを起こし、権力を握ってから、まもなく7カ月となる。2015年から現地を撮影してきた奈良の写真家が「本来のミャンマーの美しい姿を見て、関心を持ち続けてほしい」と願い、都内で写真展「Pray for Myanmar」を開いている。9月1日まで。

 色鮮やかな民族衣装や伝統的な祭り、荘厳な寺院、昔ながらの漁をする人々やろうそくを手にした僧院の子どもたち――。

 撮影したのは、奈良県生駒市の三田崇博さん(46)。会社員だった33歳のころ、旅と写真好きが高じて写真家に転じた。世界遺産をテーマに100カ国・地域の350カ所以上をめぐってきた。

 ミャンマーとの出会いは2015年。ピュー古代都市群が同国で初の世界遺産に登録された翌年のことだ。民主化が進み、旅行者が入国しやすくなったことも背中を押した。

 普段は主に風景を撮るが、ミャンマーでは「自然と人を撮りたくなる」。心引かれた理由をそう話す。訪れる度に人から人へ縁がつながり、渡航を重ねた。昨年1月までに計12回。現地で出会ったメイさん(37)と結婚し、さらに身近で大事な国になった。

 昨年11月の総選挙の際、メイさんは「絶対に投票しないといけない」と、奈良から東京の大使館まで在外投票に出かけた。選挙結果をひっくり返した今年2月1日のクーデターは、衝撃だった。

 今回展示する36点の大半は、ミャンマー各地の伝統的な風景が被写体だ。その中で一つだけ、ヤンゴンの都市部を写した作品がある。18年、メイさんが働いていた日系企業の入るビルの屋上から撮ったスーレーパゴダ通りの夜景だ。

 「返して我々の美しいヤンゴンの夜景」

 メイさんが必ず展示したいと望んだ一枚で、題名も自らつけた。「にぎやかだったヤンゴンの街は、クーデター直後は抗議する人々であふれ、半年経った今はコロナの影響もあって静かになってしまった。失われた美しい景色を戻したい」

 三田さんも「写真を通じて美しいミャンマーの姿を知り、関心をもってもらえたら」と語る。

 会場ではポストカードや写真集を販売し、売り上げの一部をミャンマーの支援団体に寄付する。入場無料。東京都新宿区四谷1丁目の日本写真会館5階「ポートレートギャラリー」(03・3351・3002)で、午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。検温や手指消毒などのコロナ対策をとっている。

 ミャンマーで撮った作品を集めた写真集には展示作品のほか、クーデター後にメイさんの兄が撮影した現地の写真なども収められている。三田さんの公式サイト(http://photosanda.com別ウインドウで開きます)からも購入できる。(荒ちひろ)