口論もした智弁学園のWエース 準優勝に泣いて抱き合う

米田千佐子
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(29日、高校野球選手権大会決勝 智弁和歌山9-2智弁学園)

 「智弁対決」を智弁和歌山が制した夏の甲子園。惜しくも敗れた智弁学園は左腕の西村王雅投手と右腕の小畠一心投手の2人の「ダブルエース」が両輪になってチームを引っぱってきた。

 29日の決勝。西村君が初回に4点を失うが、その後は無失点に抑え、小畠君にマウンドを託した。「お前しかいない。最後まで投げろ」。九回、小畠君の左足がつりそうになると、西村君はマウンドに水を持って駆け寄った。「大丈夫やから」。小畠君は最後まで投げきった。

 支え合う2人だが、最初から気持ちがそろっていたわけではない。

 中学時代、全国8強のエースだった西村君と、15歳以下の日本代表だった小畠君。同じクラスで寮でも一緒だが、ライバル心をぶつけ合った。「お前のピッチングで負けた」「こういう練習の方がいいやろ」。前主将の白石陸さん(19)によると、2人が野球のことで熱くなり、口論になることもあった。

 2人は1年から活躍した。今春の選抜大会では、西村君は「1番らしく自分で勝ちたい」、小畠君は「この冬(西村君を)抜かすつもりでずっとやってきた」と闘志をあらわにした。優勝をめざして挑んだが、準々決勝で2人が投げ、打ち込まれて負けた。

 「お互い『自分が投げて勝つ』やったけど、考えが変わった。1人じゃ勝てない」と西村君。小坂将商監督(44)は「2人は会話を増やして、夏までに距離が縮まっていった」と言う。

 今大会、準々決勝では西村君が九回表に本塁打を浴びて勝ち越されたが、小畠君が救援で登板。「お前が流れ持って来い」と西村君に託された小畠君が後続を断ち、九回裏の逆転サヨナラを呼び込んだ。

 決勝の後、2人は共に泣き、何度も抱き合った。「今までありがとう」。2人の長い夏が終わった。(米田千佐子)