駆ける!青森の90代4人 リレー2種目で世界新記録
青森の90代の男性4人が、健脚で偉業を成し遂げた。弘前市運動公園で29日、5歳ごとのクラスにわかれて競技を行うマスターズ陸上の選手権大会が開催され、4人は男子90~94歳(M90)の部・400メートルリレーと、1600メートルリレーで世界記録を樹立した。
走ったのは、五所川原市の敦賀又四郎さん(92)、工藤勇蔵さん(92)、鰺ケ沢町の三ツ谷光造さん(90)、青森市の田中博男さん(90)。
5月の競技会で4人は1600メートルを8分49秒01で完走し、世界記録(12分41秒69)を更新した。だが、他の年齢層を含めた全クラスで参加チームがほかにいなかったため、1組だけで走った場合は記録にならないという規定により公認されなかった。今大会、400メートルリレーは新たな挑戦で、1600メートルリレーはリベンジ戦でもあった。
この日は先に400メートルリレーが行われた。太陽がさんさんと照りつける昼過ぎ、1走の敦賀さんが号砲で素早く立ち上がり、勢いそのままにバトンパス。2走の工藤さんがぐんぐんスピードをあげた。3走の三ツ谷さんは、体調を崩して10日前まで入院していたが、「なんとしても新記録を」と意欲を燃やしての参加。バトンをしっかり握って早歩きした。最後は4走田中さんが腕を大きくふりながら全力疾走し、1分43秒69で完走。
続く1600メートルリレーでも疲れを見せず、9分56秒36をマーク。2種目で世界記録更新を達成した。今後、青森マスターズ陸上競技連盟が日本マスターズ陸上競技連合を通して公認申請する。
敦賀さんは「生まれて初めてこういう記録に出会ったもんですから、最高の人生です」。工藤さんは「この場で練習が成果となって、大変うれしい。4人で切磋琢磨(せっさたくま)して走り続けたい」とガッツポーズ。三ツ谷さんは「是が非でも記録を奪還したかった。ほっとした」と安堵(あんど)し、田中さんは「鬼が高笑いするだろうが、M95(95~99歳)に向けて精進すればまた4人で挑戦できるのでは」と先を見据えた。(吉備彩日)
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