51歳「水の女王」が最終レース 「考えた以上の人生」

波戸健一
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 「水の女王」と呼ばれる成田真由美(51)が、今大会初の決勝進出を果たした。30日の東京パラリンピック競泳女子50メートル背泳ぎ(運動機能障害S5)。「集大成」と位置づけた大舞台の最終レースで6位に入賞し、「泳ぎ切って幸せな気持ち」と語った。

 6度目のパラとなる今大会は、100メートル自由形などの3種目は全て予選落ち。この日は8位で通過した。決勝の47秒86は、34歳で出場した2004年アテネ大会より2秒近く速かった。

 1996年アトランタ大会から04年アテネ大会まで計15個の金メダルを獲得。08年北京大会後に引退したが、東京開催が決まり、現役復帰した。「私が泳ぐことで、パラリンピックという言葉が少しでも活字になれば」との思いがあった。

 コロナ禍の大会延期で二つの思いが交錯した。「つらい練習をあと1年もするのか」「あと1年も泳ぐことができる」。揺れる気持ちを抱えながらの日々。プールの閉鎖期間は車いすに鉄アレイを載せて走った。再開後は多い日で4千メートルの泳ぎ込み。時には涙を流すほどの猛練習だった。

 横断性脊髄(せきずい)炎で下半身が動かなくなったのは中学生の頃だった。「わたしの足はもう二度と治らない」と知ったのは17歳。水泳を始めたのは23歳だった。初めて泳ぐと、重かった足がふわりと軽くなった。

 障害を理由にいくつもの施設で練習を断られた。受け入れたのが、いまも通う横浜サクラスイミングスクールだ。パラ水泳界を見渡すと、若手が育ってきた。目をかけてきた14歳の山田美幸も銀メダルを獲得。この日の決勝前は、選手村で若い選手たちに見送られた。思いを巡らすと、感極まった。「考えていた以上の競泳人生を送ることができた」(波戸健一)