「ウスケボーイズ」監督の作品、山梨県内で映画撮影中

永沼仁
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 若き醸造家らを描き話題を呼んだ「ウスケボーイズ」に続き、日本ワインに光を当てた映画の製作が、山梨県内で進んでいる。「シャトー・メルシャン」工場長で日本ワインの品質を追求してきた安蔵光弘さん(53)の半生が描かれる予定だ。

 ウスケボーイズは、メルシャン勝沼ワイナリー(甲州市)の工場長も務めた麻井宇介(うすけ、本名・浅井昭吾、1930~2002)を師と仰ぐ若手醸造家を描いた作品。18年に全国で公開され、国際映画祭でも入賞を果たすなど話題となった。

 今作のタイトルは「シグナチャー」。特別なワインに醸造責任者がサインを入れることを指す言葉で、前作のウスケボーイズ同様、柿崎ゆうじ監督(52)がメガホンをとり、自ら脚本も書いた。

 主人公は、麻井の遺志を継ぐ醸造家の安蔵さん。晩年の麻井から直接指導を受けた「最後のウスケボーイズ」だ。90年代後半、長野県塩尻市で欧州品種のメルローを栽培して醸造するなど、国内のワインづくりの常識にこだわらず、「日本を世界の銘醸地」にするため試行錯誤を重ねてきた。

 前作でも登場人物の一人として描かれたが、今回は主役として、その半生が描かれる。柿崎監督は「映画製作の縁から4年前に付き合いが始まり、話を聞くうちに麻井さんと安蔵さんを中心にした物語を作りたいと思うようになった」と話す。

 安蔵さんは「会社の大先輩の麻井さんと交流させていただき、多くの示唆を受けた。映画を通じて日本ワインに興味を持つ人が増えてほしい。公開されるのが楽しみ」と歓迎する。

 劇中、安蔵さんの妻で丸藤葡萄酒(ぶどうしゅ)工業(甲州市)の醸造家でもある正子さんとの絆も描かれる。正子さんは「きれいな女優さんに私の役をやっていただけるのはうれしいが、正直、恥ずかしい」と話す。

 8月4日にクランクイン。県内のワイナリー、ブドウ畑などでロケが続いている。自身でブドウ栽培やワイン醸造も試みる柿崎監督は「撮影の95%が山梨。日本ワインのすばらしさを世界に発信し、作り手の思いを作品に込めたい。ぜひ、県内のワイン関係者に見てもらいたい」と話す。

 キャストは安蔵さん役に平山浩行さん、正子さん役が竹島由夏さん。公開は来年の予定。(永沼仁)