『資本論』は予言する 斎藤幸平さんの講演に思う

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編集委員・中村俊介
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 環境破壊を防ぎ、人類の未来を守るヒントは『資本論』にあり。一瞬たじろぐその言説は、マルクスなんて遠い過去の遺物だった現代人の心を、ぐっとつかんだ。『人新世の「資本論」』(集英社新書)が話題の経済・社会思想家、斎藤幸平・大阪市立大准教授の話を聞く機会があった。

 資本主義に根ざす格差社会の矛盾を是正し、気候変動にあえぐ地球を救う。それには人類が「脱成長」を選び、商品があふれる資本主義に代わる価値体系に基づいた生活様式や社会システムを見いだすこと。そして、水や電力、住居などを市民自ら共同管理する「コモン」の提唱――。

 「マルクスは正しかったから重要だ、などというのではない。『資本論』は、資本主義がすべてではない、もっと豊かな社会があることをわからせてくれる」

 いまや古典となった『資本論』を再び読み直す意味を、斎藤さんはバッハやベートーベンの演奏にたとえた。クラシック音楽は再現芸術ともいう。数々の名曲たちに、楽譜はたったひとつ。が、あまたの演奏家の、それぞれに異なる解釈がそこに新たな命を吹き込む。それと同じ、というのだ。

 原語で巨大な『資本論』と格…

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