アフガニスタンに約20年間駐留してきた米軍が撤退し、米同時多発テロをきっかけに始まった「米史上最長の戦争」が終結した。復権したイスラム主義勢力タリバンとどう向き合い、テロの脅威など残された課題とどう対峙(たいじ)していくのか。米国、欧州、中国の専門家にそれぞれ聞いた。
米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」 ウィリアム・ウェクスラー氏
バイデン大統領が8月31日の演説でまず話したのは「私は最も長い戦争を終わらせた」ということだ。米国人のなかで、アフガニスタンへの関心が薄れ、米軍撤退を歓迎していることが背景にある。
9・11から20年がたち、いま米国人はアフガニスタンからのテロの脅威を感じていない。20年間、あのように大規模なテロ攻撃はなく、自分たちが直面する脅威として思い浮かぶのは議事堂襲撃事件や知事への脅迫、同性愛者をねらった襲撃、ユダヤ教礼拝所への襲撃などだ。
問題は今後だ。テロリストが米国を攻撃したり、米国人を殺害したりするための拠点にアフガニスタンがならないか。バイデン大統領の任期中にアフガニスタンから米国に向けたテロ攻撃があったら、米軍撤退は明らかに負の遺産となる。
記事後半では、中国とフランスの専門家の見方もそれぞれ紹介します。
過激派組織「イスラム国」(…
【視点】 ここに出てくるように、アメリカの実務家や知識人が自分たちの不在ゆえにISなどのテロが再興すると問題を定義している限りは、無反省のまま。またいつか同じことをするだろう。ISは自分たちが作り上げた化け物ともいえる。アル=カーエダもまた、直接・