アフガンの文化財、守ってきた日本の研究者たち 略奪・破壊を懸念

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編集委員・宮代栄一、神宮桃子
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 アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが権力を奪取したことを受け、同国内にある文化財の破壊を懸念する声が日本の研究者から上がっている。宗派が異なるイスラム教シーア派の聖人像などをタリバンが壊したと伝えられており、文化財への波及が心配されている。

 文化遺産保護の国際協力に携わる国内の研究機関や団体などでつくる「文化遺産国際協力コンソーシアム」(青柳正規会長)は8月18日、緊急声明を出して、アフガニスタンの遺跡や博物館に対する不法な略奪や破壊活動への懸念を示した。全ての勢力や個人に「節度を保った冷静な行動」を強く求め、文化遺産保護のための「協力への強い意志」を表明した。

 内戦などに伴う混乱時に文化財が破壊されたり、盗難に遭ったりする例は少なくない。アフガニスタンで遺跡保存などに携わってきた山内和也・帝京大学教授(中央アジア考古学)は「社会が不安定化すると、一般の人々が博物館などから文化財の略奪をすることがある」と指摘する。

 近年では、2003年からのイラク戦争イラク国立博物館などからメソポタミア文明の遺品が多数略奪された。民主化運動アラブの春」で11年に起きたデモの際には、カイロのエジプト考古学博物館でツタンカーメン王の像などが盗まれた。アフガニスタンでもソ連軍撤退後の1993年以降、カブールの国立博物館で略奪があり、収蔵品の多くが失われた。

 宗教的対立などから文化財などを破壊する例もある。タリバンは2001年、アフガニスタン国内の仏像を破壊するよう命令。中部バーミヤンにあった大仏が爆破された。15年には過激派組織イスラム国(IS)が世界遺産シリアパルミラ遺跡を爆破した。今回の権力奪取後のバーミヤンでは8月中旬、かつてタリバンと戦って殺害された政治指導者アブドル・アリ・マザリの石像が破壊される事件が起きた。

 和光大学の前田耕作・名誉教…

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