韓国、アプリ上の決済義務づけ禁止 世界初、法案を可決

ソウル=神谷毅
[PR]

 韓国国会が8月末、スマートフォン用のアプリ決済をめぐり、グーグルやアップルなどのIT大手が自社決済システムの利用をアプリ開発業者に義務づけ、開発業者から手数料を徴収することを事実上禁じる法案を可決させた。法律を所管する韓国放送通信委員会によると、決済手段の指定を法律で禁じるのは世界初だといい、国内外で注目されている。

 アップルやグーグルといった「プラットフォーマー」が自社の決済システムの利用を義務づけて最大30%の手数料を徴収していることに、欧米を中心に世界で批判が集まっている。

 31日の韓国国会で可決されたのは、「反グーグル法」とも呼ばれる電気通信事業法改正案。15日以内に閣議を行って公布、施行される予定だ。違反した場合、放送通信委員会は、是正命令を行い、応じない場合は課徴金などの支払い命令を行うことができる。

 規制の対象となるのは、アプリ内課金などで自社決済システムを強要する場合だ。アップルは先月、批判を受け、事実上制限していたアプリ外課金のルールを緩める方針を発表した。韓国メディアによると、グーグルは10月から、ゲーム以外のアプリにも「グーグルプレイ」上での課金を強制する方針を示していた。スマホのシェアではサムスン電子が7割余りと高い韓国では、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」利用者が多いだけに、このグーグルの動きが世論や業界から反発を呼んだ。

 グーグル側は「システムやアプリ購買の方法を高い品質で維持しながら、この法律についての対応を今後、検討していきたい」とコメントした。

 韓国インターネット企業協会などは8月中旬、改正案の通過を求める共同書簡で「グーグルのアプリ内課金が全面的に適用された場合、韓国のコンテンツ産業の売上高は年間約2兆ウォン(約1900億円)以上減少する」と規制強化を求めていた。

 改正案の可決を受けて、放送通信委員会の韓相赫(ハンサンヒョク)委員長は「公正で開放的なネット環境づくりに寄与する点で意味は大きい。世界的なプラットフォーマー規制の立法化の試金石になる」と胸を張った。韓国インターネット企業協会も声明を出し「利用者が低価格で多様なコンテンツを楽しめる公正な環境ができるよう期待する」とした。(ソウル=神谷毅)