「吹奏楽の灯、消さないのが使命」北海道吹奏楽連盟理事長に聞く

聞き手・戸田拓
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 第66回北海道吹奏楽コンクール(北海道吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が8月26~29日の日程を終えた。コロナ禍に見舞われた昨年は中止され、2年ぶりの開催となった。「コンクール再開は使命だった」という道吹連の井田重芳理事長(東海大学付属札幌高校吹奏楽部顧問)に道のりを振り返ってもらった。

 ――コンクール2日目の27日から、北海道にも通算3度目の緊急事態宣言が出されました。この時期の開催に反響はありましたか。

 「批判は覚悟していました。実際そういうメールや電話をいくつかいただきましたが、それ以上に開催したことに対する感謝の言葉が、出演団体や学校だけでなく、一般の方からもたくさん届きました」

 「今年、全国の吹連の判断は様々でした。動画審査に切り替えたり無観客で開催したりしたところもあった。そんな中で私たちは昨年以来、演奏中の感染防止などに関する様々な研究を調べた結果、『対策を万全に行えば大会を実施できる』との判断に至りました。客席の収容人数を半分に抑えてすべて指定席としました」

団体の動線、完全分離

 「昨年の中高3年生の中には、心が満たされないまま卒業した子も少なくなかったでしょう。それを繰り返してはならないと思いました。コンクールという目標がなければ新入部員が減るなど、楽団の維持が難しくなる。今年の部員数は昨年の中止の影響をすでに受けている、との調査結果も出ています」

 ――実施までどんな苦労がありましたか。

 「多くの団体が次々登場する分刻みのイベントです。例年、搬入、リハーサル、本番、搬出といった段取りが団体の数だけあり、裏方の先生や生徒たちは大変な苦労をしています。今年はさらに、団体ごとの舞台と楽屋の消毒・換気の徹底、団体同士が接触しない動線での誘導、といった難題が加わりました。それを成し遂げて吹奏楽の灯を消さないのが我々の使命と思い、これ以上はできないというほどの感染対策を施したつもりです」

無念の出場辞退も

 ――地区大会から全道大会まで、出場を辞退する団体がいくつもありました。

 「団員自身の発症だけでなく、濃厚接触者になったケースもありました。学級閉鎖で自宅待機になりアンサンブルが成り立たなくなったり、会場に向かう途中で欠席していた団員の陽性が判明して引き返したりした団体もありました。どれほど悲しい思いをされたことか、と思います。運悪く感染してしまった団員が自らを責めることのないよう、心から願っています」

 ――今年の参加団体は全道で2019年から約1割も減りました。少子化が早く進む北海道では吹奏楽人口はコロナ以前から減少傾向にあったと思いますが、今後さらに加速しないか懸念されます。

縮むコンクール、改革へ

 「少子化について道吹連は以前から対策していました。他県では中高のコンクールは全国大会につながる大編成、北海道で言えばA編成を中心に実施するところもありますが、我々は各学校が規模に応じて参加できるよう、35人以内のB編成、25人以内のC編成部門を設けています。もともと人口密度が低い北海道は小規模校が多い。どんな規模の学校でも吹奏楽コンクールに参加して楽しめるよう配慮して、吹奏楽の裾野を広げてきました」

 「さらなる少子化を考慮し、数年後をめどにもっと小さい学校が意欲的に取り組めるような大会のあり方を考えています。今と同じでいいはずがありません」

 ――今回、日胆地区から中学Cの全道大会に出場した浦河町立荻伏中は、わずか7人で見事なアンサンブルを披露しました。

 「小規模校に夢を与える活躍でした。本当にうれしいですね。連盟の希望は、あの団体に表れていると思います」(聞き手・戸田拓)