山口組、構成員に「公共の場で銃使うな」 工藤会の判決を意識か
指定暴力団山口組(神戸市)の一部の傘下組織が構成員に対し、公共の場で銃器を使わないよう指示を出したことが関係者への取材でわかった。特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)の組員が市民を襲撃した事件をめぐり、最高幹部の刑事責任を認める判決を福岡地裁が言い渡したことを受けた対応とみられる。
複数の山口組関係者によると指示は1日付で、発出元は「6代目山口組総本部」。山口組の構成員は約3800人(昨年末時点)いるとされるが、少なくとも複数の傘下組織の構成員に口頭で伝えられたという。
背景にあるとみられるのは、福岡地裁が8月に工藤会のトップとナンバー2に言い渡した判決だ。2人は構成員が市民を狙った4件の殺傷事件で起訴された。トップらの指示を裏付ける直接証拠はなかったが、地裁は複数の組員が役割を分担した計画性や指揮命令系統などを検討し、2人の共謀や意思に基づいた犯行と認定した。このうち2件では拳銃が使われた。
暴力団事情に詳しいジャーナリストの鈴木智彦さんは、通達の狙いについて「上層部の刑事上の使用者責任を追及された際のアリバイ作りではないか」と指摘した上で、「暴力団は有事に拳銃を使う。実質的な効力はないのでないか」と話す。
一方、取り締まりを担当する警察幹部の一人は「暴力団は人を殺すと決めたら銃がなくても実行する。指示が出たとしても意味がない」と話している。
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