形を変えて生まれ変わる焼きまんじゅうの強さは

星井麻紀
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 ポテトチップスにバウムクーヘン……。「焼きまんじゅう味の○○」が最近増えている。押しも押されもせぬ群馬県民のソウルフードだが、次々に新商品が生まれるのはどうして?

 玉村町の水産会社「関東フーズ」と「海老(えび)善」、焼きまんじゅう屋の「飯玉屋」は、焼きまんじゅう味の水産加工品を開発。今夏から販売を始めた。なじみの味で魚をおいしく食べてもらい、地元を盛り上げようという狙いだ。

 「魚が苦手な子供が喜んで食べたという声を聞きます」。関東フーズの山中祐一社長(39)は手応えを感じている。

 味の決め手は飯玉屋秘伝のみそだれ。焼きまんじゅうになじみのなかった静岡県出身の山中社長だが、「これは魚に合う」と直感したという。普段から病院食用の細かいリクエストに合わせて切り身魚を調味している勘が働いた。

 2カ月ほど試行錯誤した後、ユズ風味のサバやショウガを入れて煮物風にしたカレイ、夏季限定のレモン入り銀ザケなどの商品が完成。道の駅「玉村宿」などで6月から販売を始めた。「今後も季節感のある商品を作りたい」

 焼きまんじゅう味といえば、昨年7月にカルビー(本社・東京都)が数量限定で発売した「ポテトチップス焼きまんじゅう味」が記憶に新しい。2017年から全国の地元の味を再現する企画の一環で、19年に発売して人気となり、再登場となった。

 県庁でカフェを営業する「大和屋」(高崎市)は8月31日までの限定で「焼きまんじゅうアイスクラッシュ」を販売した。エスプレッソやミルクアイスにみそだれという意表を突いた組み合わせだが、予想を超える人気商品になった。

 「群馬県民にとってはノスタルジックな味。県外の人はみその甘さに驚きますが、それが意外性となっているのかも」と前橋市出身のフードコーディネーター、金沢亜希子さんは分析する。自身も第1子の出産直後、一番最初に食べたくなったのが焼きまんじゅうだった。

 みそだれは素材としても「潜在力が高い」。乳製品や小麦粉と相性がよく、香ばしさも出しやすく、様々に展開可能だそうだ。各地でソウルフードが注目され、コロナ禍で地元に目が行く傾向が強いせいか、金沢さんの元には焼きまんじゅう絡みの商品開発の依頼も寄せられている。

 「焼きまんじゅう屋さんも減っています。あの味を探し求めている人もいるかも」(星井麻紀)