「タイプも戦術も一緒」の相手に勝てた理由 銅メダルの車いすペア

稲垣康介
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 日付は変わり、2日午前2時1分。雨の中断を挟み屋外から屋根付きのセンターコートに舞台を移した熱戦に歓喜の瞬間が訪れた。

 東京パラリンピック車いすテニスの混合上下肢障害ダブルス3位決定戦。54歳の諸石光照と組んで、この種目で日本初のメダルを手にした40歳の菅野浩二は言った。「疲れました。長い長い一日でした」

 「クアード」と呼ばれるこの種目は、上半身にも障害がある選手で争う。

 諸石は30歳を目前に手足などの神経がまひして筋力が低下するギラン・バレー症候群を発症した。握力が弱いため、ラケットを握る右手をテーピングで固定してプレーする。

 菅野は15歳のときの交通事故で首から下に障害が残る。障害が軽い男子部門でプレーしていたが、東京大会を見据えて5年前にクアードに転向。諸石より車いすの操作は素早い。威力のあるショットも放てる。

 相手の英国ペアは似たタイプ。障害の重い選手を狙う戦術も一緒だった。それでも「諸石さんはミスが少なく安定している。向こうが本来やりたいことをやらせず、僕らが徹底的に突いたのが勝因」と菅野。諸石のフラット系のフォアハンドは決定力も高かった。

 第1セットで三つのセットポイントを許す窮地を脱して7―5で先取。第2セットは3―6で失ったが、最終セットで7―5と競り勝った。総獲得ポイントは115と同じ。3時間に及ぶ紙一重の激闘を制する勝負強さがあった。

 諸石は2012年ロンドン大会で4位。「日本は男子の国枝君と女子の上地選手がいて強いけど、クアードは追いつけず、本当にメダルが欲しかった。9年は長かったな、という思いがあります」。クアード勢のプライドがのぞいた。稲垣康介