母子死亡の池袋暴走事故、被告に禁錮5年の実刑判決

新屋絵理
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 東京・池袋で2019年4月、暴走した乗用車で母子が死亡するなどした事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対し、東京地裁は2日、禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を言い渡した。

 判決は、事故原因について「ブレーキと間違えてアクセルを踏み込んだ過失が(被告に)ある」と認定した。この日は一般傍聴席22席に対し、563人が傍聴券を求めて並んだ。

 事故では、横断歩道を自転車で渡っていた松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が亡くなり、9人が重軽傷を負った。

 検察は事故から約10カ月後の20年2月、ブレーキとアクセルの踏み間違いで事故を起こしたとして飯塚被告を在宅のまま起訴した。

 飯塚被告は昨年10月に始まった公判で、「アクセルを踏み続けたことはないと記憶している。車に何らかの異常が生じ暴走した」と無罪を主張。今年6月の公判では、真菜さんの夫の拓也さん(35)から「主張に無理があるとは思わないか」と直接質問され、「暴走状態になった車を止められなかったことは悔やんでいる」と答えた。

 検察側は論告で、事故後の検査で電気系統の不具合を示す痕跡は確認できず正常に機能していたことなどをふまえ、「初歩的な操作に対する注意義務に違反した過失は大きい」と指摘。法定刑の上限にあたる禁錮7年を求刑していた。(新屋絵理)

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    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2021年9月2日19時32分 投稿
    【視点】

     痛ましい暴走事故の判決。事故の再発防止を訴えるご遺族の痛切な声に心を動かされ、高齢ドライバーである親や配偶者の運転中止について、本気で話し合わなければ、と考えている人は少なくないと思います。  高齢ドライバー問題の取材経験から言えば