「いつか祖国に教室を」 テコンドーで輝く、難民キャンプのヒーロー

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荒ちひろ
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 幼いころに経験できなかった「喜び」を、テコンドーがもたらしてくれた。難民キャンプで教えるいま、子どもたちに伝えたい。諦めなければ、未来には必ずすばらしいことがある。

 2日、テコンドー男子61キロ級(運動機能障害)に出場した難民選手団のパルフェ・ハキジマナ(33)は、ルワンダ東部にあるマハマ難民キャンプに暮らす。難民キャンプから直接出場する難民選手は、今大会でただ一人だ。テコンドーの「師匠」の顔も持つ彼を、キャンプの仲間たちは、マハマのヒーローだと言う。

 ルワンダの南に接するブルンジで生まれ育った。民族間の対立激化などで混乱していた1996年7月21日、国内の避難先で襲撃に遭った。一緒にいた母親は殺害され、自身も左腕を撃たれた。左肩から先に大きな損傷を負い、約2年、病院で治療を続けたが障害が残った。

 リハビリの中でテコンドーと出会ったのは16歳のころ。教室を開いていた友人に「腕に障害があっても問題なくできるスポーツだ」と勧められた。練習も大会も、すべて健常者と一緒。練習の腕立て伏せや左腕側の防御など苦手はあったが、師匠でもあった友人は常に「できる。やるんだ」と背中を押してくれた。

 練習に打ち込むと、それまでの困難や苦しみを忘れることができた。「テコンドーは自らを律するスポーツ。私を精神的に強くし、自分らしくいるすべを与えてくれた」。2010年に黒帯を取得し、自分の教室を開くまでになった。

 だが15年、軍によるクーデ…

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