「ししのふん」はまさかの大発見 60年経っても続く自由研究
東京都在住の亀田良成(よししげ)さん(73)がマリモと出合ったのは1956年、小学3年の時だった。
友達の家族と、東京から富士山麓(さんろく)の山中湖に旅行した。お目当ては昆虫採集だったが、滞在先で対岸に小さいマリモが打ち上げられていると聞き、行ってみることにした。
地元では「ししのふん」と呼ばれているという。
「さえない名前だな」と最初は思った。
ボートで対岸に着くと、小さな馬のふんのような、茶色っぽい楕円(だえん)形のマリモを浜で見つけた。意外と硬く、湖水で洗うときれいな緑色になった。
「これは面白い」。ビンに入れて持って帰ることにした。
2年後、自宅の梅酒の空き瓶で育てていたマリモを夏休みの研究テーマに決めた。
水槽に移し替えてじっと眺めていると、日によって浮いたり沈んだり。なぜか増えていることもあった。日々変化して見飽きず、夢中になった。
本なども参考にしながら、地元の人から聞いた話や成長の様子を自由研究にまとめた。
研究が終わると、水槽を庭に置き、景色の一部として楽しんだ。水が濁ったら替えたり、時々ごみや落ち葉を取り除いたりはしたが、それほど管理に手はかからなかった。
大学を卒業し、就職。結婚して実家を離れた後は、母が世話を続けた。
7粒ほどだったマリモは、数十年かけて三つの水槽の底を埋め尽くすほど増えた。
それから半世紀 仰天したできごと
転機は、自由研究から50年以上経った2011年春。老人ホームで暮らすようになった母を元気づけようと、ホームにマリモを持っていこうとした時のことだった。
インターネットで検索してみ…