きっかけは金嬉老事件 市民が半世紀続ける朝鮮語学習塾

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桜井泉
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現場へ! 隣の国のことば②

 東京・目白の線路沿いのマンションの一室。電車の轟音(ごうおん)をものともせず、中高年の5人が、韓国の反体制派作家として知られた黄晳暎(ファンソギョン)のエッセーを読んでいた。朝鮮語学習の場がほとんどなかった1970年、市民らが始めた「現代語学塾」が9月末、半世紀余りの歴史にひとまず幕を下ろす。

 きっかけは68年2月、静岡県で起きた金嬉老(キムヒロ)事件だ。金は暴力団関係者2人を殺し、ライフル銃を手に人質をとり、旅館に立てこもった。金は、記者会見を開いて在日への差別を糾弾した。

 朝鮮史研究者の梶村秀樹、フランス文学者の鈴木道彦、作家の金達寿(キムダルス)、野間宏、社会学者の日高六郎らが金の裁判支援に立ち上がった。「単なる刑事事件ではなく、在日朝鮮人と日本人との間に横たわる歴史的、社会的問題に深く根を持っている」。公判対策委員会をつくり、法廷闘争を支えた。

 埼玉県川越市の松山昌一(7…

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