クマ・イノシシをどう欺く? 村山の高校生がオリジナル捕獲器製作中

辻岡大助
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 野生のクマやイノシシから農作物の被害や住民のけがを防ごうと、山形県村山市の村山産業高校の生徒たちがオリジナルの捕獲器を製作した。ハチミツでおびき寄せ、ドラム缶の中に閉じ込める仕掛けだが、外観に偽装が施されている。地元の猟友会も感心する偽装とは――。

 製作したのは、石川駿吾さん(17)ら機械科の3年生4人。きっかけは、同校の農園に野生のイノシシが侵入し、作物を荒らされたことだった。

 危機感を覚えた4人は今年4月、製作に着手。クマ用の捕獲器「箱わな」を作ることにした。イノシシが入っても大丈夫だ。当初、鉄パイプで囲むおりのイメージを描いたが、より頑丈なドラム缶の捕獲器を設計した。

 仕掛けはこうだ。ドラム缶の奥にハチミツを入れた缶を置き、それをひもでつるす。中に入ってハチミツを食べようとすると、ひもと連動した入り口上部の分厚い鉄板が落ち、閉じ込められる。

 直径60センチのドラム缶1・5本分を使った。鉄板部分を含めた高さは約1メートル、奥行きは約1・5メートル。機械科なだけに、ドラム缶や枠組みの鋼材の溶接はお手の物だったが、仕掛けのひもの調節には苦労したという。

 もう一工夫ある。捕獲器は通常、山林の枝葉をかぶせて偽装する。だが、強風や強雨にさらされ続けると、金属部分が露出し、クマやイノシシに警戒されてしまう。風雨に耐え、偽装できる素材は……。

 生徒たちは「草が自然に生えているように見えて、見た目も格好いい」と人工芝を選んだ。表面に貼り付け、捕獲器全体を覆った。

 同校と共同で野生動物の地域分布を調査している村山市猟友会の大場一昭会長(75)は「クマやイノシシに悟られないよう、恒久的に偽装できるのでは」と評価。会員は高齢化しているといい、「若い人たちがアイデアを出して捕獲器を作ってくれている」と目を細める。

 市猟友会が2020年度に捕獲したイノシシは前年度の1・7倍の74頭で、ツキノワグマは同2・8倍の11頭だった。今年度もクマによるサクランボやスイカの被害が目立つという。

 石川さんは「地域の住民が野生のクマやイノシシと遭遇すれば、けがを負うかもしれない。そんな被害を捕獲器で防ぐことができればうれしい」と話す。猟友会からは「野生動物の力は想像を超える」とアドバイスを受け、捕獲器の強度をさらに高めた。近く猟友会に寄贈する。(辻岡大助)