「譲歩」したアップル、利用者には手間の壁も 決済の選択肢は拡大
時価総額が2兆5200億ドル(約277兆円)に上り、世界最大の企業である米アップルが1日、日本の公正取引委員会の指摘を受けて、外部の課金サイトへの誘導を、一部のアプリで認めると発表した。消費者にはどんなメリットがあるのか。
今回の決定は、日本のiPhone利用者にどのような影響があるのか。「アップルのガイドラインが更新されておらず、今後の対応も含めて回答は差し控える」(LINE広報)など、配信サービス側は対応を明らかにしていないが、決済の選択肢は広がることになる。
決定に伴う具体的な変化としては、アプリ内ではアップルのシステム上の決済方法しか表示されなかった仕組みが改められ、アプリ内に外部の決済サイトへ誘導するボタンが置けるようになる。
しかし、外部サイトへの流出がどの程度広がるかについては、懐疑的な見方もある。アップルのシステムと外部サイトのそれぞれの料金は一目では比較できない。わざわざ別のサイトに移動する手間暇をかける人が、どれほどいるかは見通せない。利用者が多いゲームは今回の改善策の対象に入っていない。
国内でのアップルの存在感は大きい。MM総研によると、2020年度の国内のスマートフォン出荷台数で9年連続の1位。他社を引き離している。京都大学の依田高典教授(応用経済学)は「公取委がGAFAの一角に対して一つの譲歩を引き出したことは成果として評価できる」としたうえで、「日本の消費者にとってアップルは特別なブランド。アップルの中で課金できる利便性も非常に高い。ユーザーが外に流れていくかは疑わしい」とみる。
ITジャーナリストの西田宗千佳さんも、アップルのシステムでの決済は便利さの面で有利であると指摘。「外部決済を使ってもらうためには、日本の開発者がより使いやすいサービスを磨かないといけない」と指摘する。(土居新平、土屋亮)
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