自転車ヘルメットが努力義務 条例改正から5カ月、群馬の実情

寺沢尚晃
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 自転車に乗る時は、ヘルメットの着用を努力義務とする。群馬県が今年4月、改正交通安全条例を施行してから5カ月がたった。非着用による罰則などはないが、県や県警は自転車による死亡事故や重大事故の減少につながるとして、各方面に着用を呼びかけている。

 ●雨の日に下がる?

 4月1日は63・7%、5月12日86・7%、7月26日87・0%。この数字、自転車で登庁する県職員のヘルメット着用率だ。順調に数字が伸びているが、雨の日はちょっと下がる――。

 毎月1回程度、県の若手職員でつくる自転車利用の啓発チーム「GMET(ジーメット)」が本庁舎でヘルメットをかぶっている職員の数をカウントしている。直近の8月31日は86・8%だった。

 「県民に呼びかける立場だけに、職員にはできるだけ着用してもらいたい」と話すのは県交通安全対策室の木内弘二室長だ。非着用の職員に理由を尋ねると「かぶると暑い」「蒸れる」などの声があるという。雨天時に着用率が下がるのは、雨がっぱのフードがかぶれなくなるからだという。

 改正により4月からは、ヘルメット着用だけでなく自転車保険の加入も義務化された。

 ●致死率3分の1に

 ヘルメット着用で、重大事故は防げるのか。県警は、一例として今年1月に発生した事故を挙げる。

 太田市内で高校生が乗った自転車と軽自動車が衝突する事故があった。高校生は右鎖骨が折れる大けがを負い、頭部も強く打ったものの、ヘルメットをかぶっていたため、頭部への影響は少なかったという。

 県警交通企画課の木村岳史次席は「ヘルメット着用で、ただちに死亡事故がなくなるというものでもない。だが頭部の損傷が減れば、重傷事故も軽傷で済むかもしれない」と効果に期待する。

 警察庁の調査では、自転車乗車中の致命傷部位は6割以上が頭部。ヘルメット着用で致死率は3分の1以下にすることができるという。

 県警のまとめでも今年、自転車が関係する人身事故は7月末までに1162件発生し、5人が亡くなった。このうち3人は「主な損傷部位」が頭部だったという。

 県も県警も、県民の着用率に関する調査はしていない。ただ昨年1年間に起きた自転車乗車中の死傷事故では、死傷者1714人のうち着用率は全体で17・6%。15歳以下は52・3%と高い一方で、70~74歳5・9%、75歳以上は2・1%だった=表。県警では今後、高齢者の着用を促す施策を検討しているという。

 ちなみに県警職員のヘルメット着用率は「もちろん100%」(木村次席)という。

 ●カジュアルなものも

 前橋市上小出町3丁目にある自転車店「サイクルベースあさひ前橋上小出店」。自転車だけでなく色やデザインの異なるヘルメットが並ぶ。自転車と同じく、新年度を迎える春にヘルメットは最も売れる。店によると「今春は昨年の3~4倍売れた」という。

 スポーツタイプの自転車に合わせたものがある一方、いわゆる「ママチャリ」の時にかぶっても違和感がないようなカジュアルなものもある。荒木智司店長は「値段は7、8千円から数万円まで様々だが、どれも頭部を守る性能はある。命を守るものなので、ぜひ着用を」と話している。(寺沢尚晃)