格差是正へ、アリババが1兆円超支援 当局の圧力かわす狙いも

北京=西山明宏
[PR]

 中国のIT分野を中心に大手企業やその創業者らが次々に巨額の寄付をしたり、基金を創設したりしている。習近平(シーチンピン)国家主席が格差是正のために提唱する「共同富裕」の実現に向けて協力するためだが、当局による最近のIT企業への締め付けがさらに強まることを避ける狙いもありそうだ。

 「アリババが共同富裕に助力する行動計画」。ネット通販大手のアリババ集団は3日、2025年までに1千億元(約1兆7千億円)を投じる具体的な計画を策定したと発表した。中小企業の経営に補助金を出したり、デリバリーの運転手など非正規雇用の労働者の待遇を改善したりする。他にも共同富裕のための基金の設立なども挙がっているという。

 同じく中国を代表するIT企業のテンセントも、計1千億元を投じ、医療体制の改善、低所得層の収入改善、農村振興などにあてる。スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)は7月、創業者の雷軍氏が約145億元(約2500億円)分の自社株を貧困対策のための自身の基金に譲渡。他にも、動画アプリ大手バイトダンス創業者の張一鳴氏も6月、5億元(85億円)を教育関連の基金に寄付した。

 習氏は8月にあった重要会議で、「全人民の共同富裕を人民の幸福を実現する取り組みの重点とし、党の長期的な統治の基礎を絶え間なく固めねばならない」と話した。かつて鄧小平改革開放の未来像として想定した「共同富裕」の実現を実現できれば、格差を縮めて大衆の支持を得られるとの考えがある。

 その格差是正のターゲットになり得るのが、中国経済の成長をリードし、巨万の富を築いたIT企業だ。すでに中国政府は締め付けを強めているが、率先して共同富裕に協力することで当局からの批判を回避したい考えがあるとみられる。(北京=西山明宏)