43歳でパラ17個目の金 英国史塗り替えたサラ・ストーリー

藤田絢子
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 雨が激しく打ちつけようと、霧が視界をさえぎろうと、関係なかった。東京パラリンピック自転車女子個人ロードレース(運動機能障害C4、5)は、天気が荒れに荒れた。

 英国のサラ・ストーリーにとっては好都合だった。「英国でも日本に来てからも雨の中で試走した。私には、コーナーワークなどの技術もある。雨は得意」。総距離79・2キロ。路面が滑り、落車の危険があるなか、2位集団で冷静にレースを運んだ。終盤に先頭の独選手をとらえ、トップの2時間21分51秒でゴールした。

 今大会3個目の金メダルを獲得し、パラリンピックの頂点に立つこと17度。英国では、競泳のマイク・ケニーの16個が史上最多だったが、ストーリーが歴史を塗り替えた。「意識していた記録。夢がかなった」と興奮気味に話した。

 母の胎内でへその緒が手に絡まり、左手が機能しない状態で生まれた。14歳だった1992年のバルセロナから4大会を競泳で出場し、五つの金を獲得。耳の感染症で泳げなくなると、パラ自転車に転向した。東京大会で銀、銅を含めたメダルの総数は28になった。

 「アスリートである時間は1日数時間。24時間、365日しているのがママ」と話すように、2013年に長女、17年に長男を産んだ。出産後、競技をやめることも考えたが、「挑戦が好き」。言葉を覚え、新しいことができるようになっていく子どもの姿から刺激をもらっている。今大会のトラック種目では、世界記録を更新。43歳の今も、ストーリーは進化している。

 「パリ大会? もちろん狙いたいと思っています」

 パラリンピックは1960年にローマで第1回大会が開かれた。これまで、史上最多の金メダルに輝いたのは、米国の女子競泳選手であるトリシャ・ゾーン。視覚障害があり、32歳で迎えた96年のアトランタ大会で41個に達した。日本勢では、東京大会にも出場した競泳の成田真由美の15個が最多だ。(藤田絢子)