首相の不出馬、野党「無責任」 コロナ急務…省庁や自治体には動揺

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 菅義偉首相が3日、「コロナの感染拡大防止に専念する」として、自民党総裁選への不出馬を表明し、事実上の退陣を決めた。野党は、政治空白になると批判した。新型コロナウイルス対策にあたる省庁や自治体などには動揺が広がった。

 「コロナへの対応が求められている状況にあるのに、残り1カ月もない首相はレームダック状態だ」

 立憲民主党枝野幸男代表は3日、記者団にこう批判した。辞めると分かっている首相には、コロナ対応にあたる現場の省庁に対して具体的な指示を出すことはできないという指摘だ。安住淳国会対策委員長も「何の権限もない首相と内閣が1カ月居座る」と批判を強める。

 菅首相は3日、首相官邸で記者団に自民党総裁選に出馬しない理由について「コロナに専念する」と強調したが、野党各党からは、菅氏の不出馬の理由をめぐり、「無責任」などの批判の声が相次いだ。

 共産党志位和夫委員長は「政権の投げ出しだ。明らかに行き詰まったのに、行き詰まりを認めようとしない」と話した。社民党福島瑞穂党首も記者団に「山火事が燃えさかっているなかで『僕、やめます』というのは無責任だ」と批判した。

 政府のコロナ対策分科会のメンバーの一人は「対策の空白が生まれないか。今までやってきたことがひっくり返されないか。みんな思っている。そうなればまた混乱する」と語った。

「本当に出ないとは…」霞が関にも動揺

 自治体では、ワクチン接種や保健所業務などでコロナ対応に追われているさなかだ。政治空白を招かないため、「政治休戦」して感染症対策にあたるよう政府や与野党に呼びかけた保坂展人東京都世田谷区長は3日、朝日新聞の取材に「首相は『コロナ対策に専念するため』と言ったが、専念していなかったから今日の状況がある。ただちにコロナ対策に集中した臨時国会を開くべきだ。総裁選後になれば、丸々2カ月無策のままになる」と語った。

 霞が関の省庁にも動揺が広がっている。

 マイナンバー普及や携帯電話料金の引き下げなど「菅印」の政策の多くを担った総務省では突然の首相の表明に驚きの声が上がった。ある幹部は「本当に出ないとは……。脱力した」。ワクチンの地方接種を推進する部署の幹部は、「我々としても変わらずにワクチン接種を進めていくだけだ」と肩を落とす。

 コロナ対策の要である厚生労働省幹部も「動揺せずにコロナ対策を進めなければ」と言い聞かせるように言った。

 菅政権の肝いり政策で1日に発足したばかりのデジタル庁の幹部も「デジタル行政にかじを切った。それは首相にしかできなかったこと」と評価した上で、「新しい首相になっても主要政策から外すことはできないのでは」と話した。

 経済官庁のある幹部は「あぜんとした。コロナ対策に専念することが、なぜ総裁選に出ないことにつながるのか。日本語としてもおかしい」と言う。さらに「イエスマンばかりで周りを固め、何も見えなくなってしまったんじゃないか」と言い放った。

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