初代王者、譲れない 14年間パラを待った韓国バドミントン王者 

菅沼遼
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 「14年間、待っていた」。今大会で初採用されたバドミントンの世界王者、韓国の金正俊(キムジョンジュン、車いすWH2)が、初めてのパラリンピックで躍動している。1次リーグ第2戦に快勝し、4日の準決勝進出を決めた。「気持ち良かった」と、喜びをかみしめた。

 一般のそれと同じ高さのネットを挟み、前後に揺さぶる戦いが続く。50回近くに及ぶ長いラリーでも、持ち前のスタミナは尽きない。車いすをこぎ続け、我慢強くシャトルを拾うスタイルで世界一に君臨し続けている。

 2005年に工場の機械に服が巻き込まれ、両足を失った。1年5カ月の入院生活を経て、リハビリでスポーツを始めた。最初に選んだのはテニス。「ちょっとだけやってやめてしまった。どうも自分に合わなくて」。07年に出会ったのがバドミントンだった。

 狭いコートの中、ダッシュとストップの連続。腕はひどく疲れるが、展開の速さにひかれ、のめり込んでいった。事故後に弱った上半身を鍛え直した。

 12年に国際大会デビュー。2年に1度開かれる世界選手権では13年から4連覇中だ。世界の車いす選手が憧れる存在になった。

 パラリンピックで注目される他競技の選手をうらやんだこともある。15年に東京大会での初採用が決定。「絶対に最初の金メダルを取る」と誓った。

 8月、43歳になった。自分より若い選手も台頭し、「世界一を守っていけるか、不安も感じている」。一方、世界一であり続けてきたプライドもある。「自分のできる限りの試合をして、世界にインパクトを残したい」。初代王者の座は譲れない。(菅沼遼)