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B型肝炎訴訟で原告勝訴確定 最高裁判決の差し戻し審、国が取り下げ

布田一樹
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 集団予防接種が原因のB型肝炎を20年以上前に発症し、症状が治まった後に再発した福岡県の60代の男性2人が国に損害賠償を求めた訴訟で、国は3日、福岡高裁への控訴を取り下げた。国に計2675万円の支払いを命じた2017年12月の一審・福岡地裁判決が確定した。

 民法は、不法行為から20年が過ぎると賠償請求権が消えるとしている。原告2人は再発後に提訴したが、最初に発症したのは20年以上前で、国は提訴時にはすでに請求権が消滅していると反論。請求権が消える20年の起算点が「最初の発症時」か「再発時」かが争われていた。

 一審は原告の主張通り「再発時」と認定し、国が控訴。19年4月の二審は一転して「最初の発症時」と国の主張を認めた。これに対し、最高裁は今年4月、「再発時」と判断し、二審判決を破棄した上で、賠償額を計算させるため審理を高裁に差し戻していた。

 厚生労働省は控訴を取り下げた理由について「最高裁判決の内容を関係省庁とも協議しながら検討し、迅速な被害救済の観点から、一審判決を確定させることが適当と判断した」とコメントした。

 原告弁護団によると、同種の訴訟は各地で起きており、原告は約110人。勝訴が確定するのは初めてという。

 原告の一人、平野裕之さん(63)=福岡市西区=は「(最初の発症時から)三十数年続いた私の戦いが勝利という形で終了した。今も裁判が続いている他の原告の方も、同じ結果になるよう願っている」と話した。

 集団予防接種での注射器の使い回しが原因とされるB型肝炎をめぐっては、最高裁が06年に国の責任を認め、11年に救済法が成立。裁判を起こすことが支給の前提で、現在は、発症から提訴まで20年未満の人に1250万円、20年を過ぎた人に150万~300万円が支給されている。(布田一樹)