コウモリ族か、全大会王者か ブラサカ決勝は南米対決に

波戸健一 岩佐友
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 5人制サッカーは南米の両雄が決勝に勝ち上がった。5連覇を目指すブラジル(世界ランク2位)に、過去4大会で銀メダルが最高のアルゼンチン(同1位)が挑む。試合は4日午後5時半にキックオフ。

 初優勝を目指すアルゼンチンは、「ムルシエラゴス」(コウモリ族)の愛称で国民に親しまれている。「彼らは視覚がなくてもボールを操れる。真っ暗闇でも自在に飛べるコウモリのようだからだろう」とチーム関係者が教えてくれた。

 マラドーナやメッシら11人制で世界屈指のストライカーを数多く生み出しているサッカー大国らしく、5人制でも強烈なエースがいる。背番号15のマキシミリアノ・エスピニリョだ。

 幼少期に網膜剝離(はくり)で視力を失った27歳は、今大会4試合で計7得点の大暴れ。身長174センチ、体重82キロのずんぐりした体で突破力がある。準決勝の中国戦では右サイドをドリブルで駆け上がり、ゴール左隅へ低い弾道のシュートを決めた。

 「視覚障害のある子どもたちの希望の光になりたい」と選手たちは口をそろえる。ベテランDFのフェデリコ・アカルディは5人制のチームを自ら立ち上げた経験があり、その生き様が小中学校の教科書で紹介された。「もっと障害者が溶け込める社会にしたい。僕らの活躍がきっかけになれば」と意気込む。

 2日の中国戦は生中継されたというほど母国の注目度も上がっている。マルティン・デモンテ監督は「チームは最高潮だ。いまだかつてないほど自信がある」と初タイトルの獲得へ自信をみなぎらせている。(波戸健一)

 両足の細かいボールタッチで相手を揺さぶり、一気に加速して抜き去る。ブラジルの背番号10、リカルド・アウベスは世界最高のドリブラーとの呼び声が高い。今大会は4試合で12得点無失点のチームを主将として引っ張る。

 6歳で視力が低下し、8歳で網膜剝離(はくり)により全盲となった。「サッカー選手になる夢を一度は諦めた」。5人制サッカーに出会い、新たな夢を見つけることができた。

 ドリブルは「小さい時に何時間も一人で同じ動きを繰り返して覚えた」。サッカー元ブラジル代表ロナウジーニョに憧れ、体の使い方やフェイントをまねた。

 2004年アテネ大会で正式競技になってからブラジルは全大会を制している。過去3大会は優勝メンバーとして貢献してきた。「勝つことで社会からリスペクトされる存在になった」と周囲の見方が変わったと感じている。自国開催だった16年リオデジャネイロ大会では大会前に左足を骨折しながら出場。イランとの決勝でゴールを決め、4連覇に導いた。

 「ブラジル人の血の中にサッカーはある。国民はチャンピオンになることを期待している」。勝利を期待される決勝。32歳のストライカーは「5連覇をめざすが、とてもタフな試合になる」とライバルとの戦いに気を引き締めて臨む。(岩佐友)