「大丈夫」と言う住民説得、避難の10分後に土砂崩れ 間一髪の救助

中島健
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 昨年7月の豪雨の際、事前の避難誘導で命の危険を防いだとして、大分県は3日、防災功労者として日田市の2人に感謝状を贈った。避難のわずか後には土砂崩れが起き、施設や住宅が全壊する被害が起きていた。

 感謝状を贈られたのは、日田市天瀬町赤岩の杉河内地区で班長を務める平野一義さん(68)と、同市中津江村栃野地区の高齢者福祉施設「安寿苑」を運営していた市社会福祉協議会の小野松晋一会長(72)。

 杉河内地区(28世帯74人)の指定避難所は集落から約6キロ離れており、平野さんは昨年6月、安全に避難するため、地区に近い玖珠町の杉河内小学校を自主避難所として使えるよう町から了解を得たばかりだった。平野さんによると、7月7日の豪雨で住民は一斉に学校に避難したが、「大丈夫」と自宅にとどまろうとした住民を何とか避難させた10分後、土砂崩れが起き、その住民の自宅にも土砂が押し寄せた。崩れたがけは高さ48メートル、幅25メートルにわたっていた。

 安寿苑では、2012年の九州北部豪雨の後、避難計画をつくり、警戒レベル3の発令で避難することを習慣化していた。昨年7月6日に大雨警報が出た段階でデイサービスの利用者が約20人いたが、サービスを中止して避難の準備を始め、避難勧告が出るのとほぼ同じタイミングで、70~90代の入所者の男女3人と職員2人で中津江振興局に避難した。7日早朝、施設の裏山が高さ45メートル、幅35メートルにわたって崩れ、施設3棟が全壊・床上浸水した。

 平野さんは「当たり前のことをしただけ。災害は身近にあるのでこれからも忘れないように訓練をしていきたい」。小野松さんは「今後も危険な状況だといち早く避難していきたい」と話した。

 日田市中心部と中津江村の距離が離れていることから、小野松さんは現場に避難の判断を委ねており、中津江支所長だった中塚能馬さん(51)が入所者とともに避難した。中塚さんは「前日から降りがすごかった。まさか崩落するとは思っていなかったが、教訓になった」。中津江の施設は現在はなく、入所者らは上津江の施設に移っているが、今年8月の長雨でも1週間避難したという。(中島健)