熱海土石流から2カ月、市長「復旧復興が新しいテーマに」

植松敬 村野英一
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 【静岡】熱海市伊豆山地区を襲った大規模土石流は3日、発生から2カ月の節目を迎えた。熱海市は同日、定例としては最後となる災害対策本部会議を開いた。斉藤栄市長は、行方不明者の捜索や避難者の応急住宅の確保に一定のめどが付いたとして、「今後は生活再建と同時に、被災地域の復旧復興がテーマとなる」と述べた。

 市では災害直後から、毎週火曜日と金曜日に同会議を開いてきた。市だけでなく警察や消防など関係機関も参加して、様々な課題を検討してきたが、捜索や住民の生活再建がある程度進んだとして、今後は、不定期に開催することにした。

 会議後の記者会見で、斉藤市長は、「全ての部で集まる会議の必要性が下がり、今後は、それぞれの専門に特化して対応する」と説明。時間の経過や状況に応じて変化していく課題に機動的に対応していく方針を示した。

 一方で、なお1人の行方がわかっておらず、捜索が続いているほか、3日現在、153人が避難している。市では、当初8月末までだったホテルの避難所を今月15日まで延長し、引き続き入居先が決まっていない人のサポートにあたる。

 伊豆山地区の復旧復興についても、「事務方では県や国と意見交換を進めている」とした一方で、「現時点で態勢やスケジュールなど具体的な話はまだ決まっていない」と説明。土石流の被害を拡大したと指摘される盛り土への対応については、具体的な言及はなかった。(植松敬)

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 土石流の被害を甚大にしたとみられる盛り土を造成した業者らに対し、熱海市はどんな指導をし、危険な状態をなぜ除去できなかったのか。こうした被災者らの疑問をめぐり、市は「説明責任を果たす」と応じつつ、関連する文書の整理と調査を続けている。

 盛り土が崩落した土地は2006年に神奈川県小田原市の業者が取得。市に盛り土の計画を届け出た後、条例の基準の約3倍(約50メートル)の高さに造成し、11年に現所有者に譲渡した。

 市によると、盛り土に関する資料は「段ボールでかなりの数」に上り、すべての資料を対象に「市による行政の手続き」を整理。今後、当時の担当者から説明も聴く予定だ。

 市幹部への担当者からの報告内容などが注目されるが、斉藤栄市長は「10年近く前のことなので、私の記憶も裏付けを持った形で、説明責任を果たしたい」と発言を控えてきた。

 市長は「盛り土の所管官庁は熱海市と県なので、それぞれが行ったことをトータルで整理する必要がある」と県の調査結果も含む検証の必要性を指摘する。(村野英一)

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 土石流の被害を受けた熱海市伊豆山地区では3日午前、地域住民らが黙禱(もくとう)し、犠牲者を追悼した。

 土石流が発生したとされる午前10時28分。住民らは、小雨が降る中、被災地域が見渡せる高台で手を合わせた。

 被災した地元住民らで作る「被害者の会」で副代表も務める太田滋さん(65)は、「今でも、なぜこんなことが起きたのかと思う」と悔しさをにじませた。被害者の会のメンバーを中心に訴訟の準備も進めている。すべては、なぜこのような悲劇が起きたかをはっきりさせ、同じことを繰り返さないためだ。「盛り土をした人、行政などで関わった人たちが何をして、何をしてこなかったのか。包み隠さず示してほしい」