酢飯とカレー、合うのかな? 4代目の一言で100年ぶり新メニュー

清水優志
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 コロナ禍による外食控えに多くの飲食店が苦しむ中、創業130年あまりの松江市の老舗すし店が一風変わった「酢飯カレー」のテイクアウトを始めた。新メニューの開発はなんと100年ぶり。予想以上の売れ行きというが、気になるお味は――。

 松江市東茶町のすし店「浪花寿司(なにわずし)」。創業明治20(1887)年で、せいろに酢飯と豪華な具材を詰めて蒸し上げた「蒸しずし」が看板メニューで、松江名物の一つにも数えられる。多くの観光客も訪れるが、コロナ禍のため昨年12月から店内飲食をとりやめ、今はテイクアウトと配達のみに絞っている。

 新メニューに挑んだのは、カレーづくりが趣味という後継ぎの坂本幸枝さん(46)。4代目で父の清さん(78)の「酢飯とカレーって合うのかな?」という何げない一言がきっかけだった。温かい蒸しずしの注文が落ち着く春夏の限定メニューとして、4月から自慢の酢飯を使ったカレーの販売を始めた。

「ご先祖様も驚いているかも」

 内容は週替わりで、取材時のカレーは旬のイワシを使った本格的なインド風キーマカレー。香り高いスパイスと脂がのったイワシを、甘めの酢飯が不思議とまとめてくれる。「普通のカレーにも酸味のあるらっきょうが付くし、カレーと酢は合うだろうと思った」と坂本さん。付け合わせには、すしの相棒「ガリ」がちょこんと添えられる。「昔からのお客さんに怒られないかと心配した」というが、常連にも好評で、1日20~30食ほど売れるという。

 コロナ禍じゃなければやっていない、という挑戦。いなりやちらしなどの定番メニューに新たな目玉が加わるのは、初代とその妻が考案した蒸しずし以来だ。試食にも加わった清さんは「蒸しずしも、冬場にすしが売れないことをきっかけに生まれた。時代とともに変わっていくことも必要だ」と後押しする。坂本さんは「すし屋でカレーなんて、ご先祖様も驚いているかも知れない」と笑う。

 9月中は火曜・日曜(19日を除く)のみ販売。副菜やデザートが付いて1100円(税込み)。カレーの販売は9月末まででいったん休止する予定。数量限定のため、予約(0852・21・4540)がオススメ。(清水優志)

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