地域でがんばる姿、奨学金につながる コロナ禍の留学生のために創設

遠藤美波
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 【兵庫】地域の人の声を、奨学金の額に反映します――。

 コロナ禍でアルバイトが減り、学費の支払いに苦しむ外国人留学生たちを助けようと、神戸市の女性がそんな給付型の奨学金を創設した。選考基準は日本語能力でも試験の点数でもなく、手伝いに行った地元企業での働きぶり。女性は、奨学金に充てる資金の寄付を呼びかけている。

 神戸市兵庫区にある国際交流シェアハウス「やどかり」を運営する中野みゆきさん(37)。昨年、ここで生活していたインドネシア人の女子留学生から「学内の奨学金の最終選考で落ちた」と打ち明けられたことが、きっかけだった。

 その留学生は母国の家族からの仕送りはなく、アルバイトで学費と生活費を賄っていた。真面目で日本語能力も高く、周りに気配りができる。「この子なら大丈夫だろう」。選考のアドバイスをしていた中野さんは思っていただけに、結果はショックだった。

 「自分のどこがダメだったのかも分からない」と肩を落としていた留学生。一番近くで見てきた中野さんは「筆記試験が得意な子や会話力が高い子が評価されるのではなく、努力の過程を見て欲しい」と思った。

 秋は、日本語学校に通う2年生にとって厳しい季節だ。進学先の大学や専門学校の入学金と、日本語学校の後期の学費の支払いが重なる。留学生は時給の高い夜勤などで学費を稼ぐが、コロナ禍で今はアルバイトもままならない。

 そこで、中野さんが奨学金をつくることにした。

 こだわったのが選考過程。地元の兵庫区役所やスポーツジム、自動車販売店などで留学生を受け入れてもらい、取り組む姿勢や実績などを評価してもらう。その点数が受け取る奨学金の額に反映される仕組みだ。

 ベトナム人とミャンマー人計7人が応募し、地元企業に派遣されている。給付額は一人最大20万円。今月18日に最終面接がある。

 奨学金の原資となる300万円を寄付で募っている。中野さんは「応募している7人はコロナ禍でも日本で学びたいと来日してきた生徒たち。大学や専門学校に進学できるよう力を貸して」と呼びかけている。

 寄付方法の問い合わせは、やどかり(078・224・5247)へ。クラウドファンディングは(https://camp-fire.jp/projects/view/424465別ウインドウで開きます)で24日まで受け付けている。サイトへの登録が別途必要。

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 奨学金に応募した留学生の中には、2月に国軍のクーデターがあったミャンマー出身の留学生もいる。

 テッテッモーさん(24)は昨年10月に来日し、神戸市内の日本語学校に入学した。ミャンマーでは大学で数学を専攻し、卒業後はスマホゲームの制作会社で働いた。日本でプログラミングを学びたいと、留学を決めた。

 学費は両親が送金してくれていた。ただ、クーデターで状況が一変。母国の銀行は閉鎖され、両親が送金できなくなってしまった。野菜工場のアルバイトでは、月の収入は5万円ほど。学費と生活費はまかないきれず、区役所で特例貸し付けを受けて学費を支払おうと考えている。

 ミャンマーの両親とは週2、3回ビデオ通話をする。国軍が村にやってきたときは、近所の人たちと田んぼに逃げ込んだという話を聞いたという。人工呼吸器などが少なく、新型コロナのことも心配だ。

 テッテッモーさんは「今はミャンマーには帰られないので、日本で頑張るしかない。日本の人たちに助けてほしい」と話す。(遠藤美波)