「マラソンはおまけ」でも銀メダル 偶然出場のパラ豪州選手が快挙

藤野隆晃
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 5日にあった東京パラリンピックの男子マラソン(視覚障害T12)で、オーストラリア代表のジャリッド・クリフォード(22)が銀メダルを獲得した。元々1500メートルや5000メートルが専門だが、ある予期せぬ出来事が、マラソンでのメダルにつながった。

 クリフォードは小学校のころ、視力を失い始めた。でも、スポーツが好きで、弱視になっても走ることはやめなかった。地元の陸上クラブに所属し、徐々に実力を伸ばしていった。

 2015年には中東・ドーハでの世界選手権に出場。16年のリオ・パラリンピックでは1500メートル(視覚障害T13)と5000メートル(同)でそれぞれ7位に入った。主戦場はこの2種目。19年の世界選手権では、いずれも優勝を果たした。

 まさか、東京大会でマラソンに出場するとは、思っていなかった。

 きっかけは今年4月。シドニーであったマラソン大会に出場するチームメートのために、ペースメーカーを務めた。完走するつもりはなかった。オーストラリア公共放送ABCによると、36キロ地点でレースを終えようとして30秒ほど座っていたが、コーチに言われて最後まで走りきった。記録は2時間19分8秒。マラソン(視覚障害T12)で、それまでの世界記録を約2分半更新する快挙で、マラソンでも東京大会の出場権を得た。

 迎えた東京大会。経験のある5000メートルでは銀メダル、1500メートルでは銅メダルを獲得した。1500メートルからわずか5日で臨んだマラソンでは、レースでは序盤から先頭集団につき、中盤以降は2位をキープ。ゴール後はトラックに四つんばいになるほど苦しんだが2位で完走。今大会三つ目のメダルを手にした。

 レース後「マラソンはおまけのようなもので、少しでも良い順位をと願っていた。パラリンピックは五輪と同様に頂点。(2度目のパラを経験できて)これまで経験した中で最高の瞬間の一つだよ」と充実した表情で語った。藤野隆晃