「綱渡りだった」東京パラと五輪 クラスターは1件、SDGsに課題

前田大輔
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 東京パラリンピックは5日午後8時から東京・国立競技場で閉会式があり、13日間の日程を終えて閉幕する。2013年の五輪、パラ開催決定から1年延期を経て8年、五輪選手村が開村した7月13日から2カ月弱。「綱渡りだったが、ようやくここまで来た」。ある組織委幹部は、ほっとした表情を浮かべた。

 組織委がまとめた選手ら大会関係者のコロナ陽性者は五輪、パラ合わせて848人で、大半が国内の業務関係者だった。選手村内のクラスターは五輪終盤の1件にとどめた。

 新型コロナウイルスの感染リスクが最も大きかった選手村は、パラでもオリンピック(五輪)での対策を踏襲した。選手に毎日の唾液(だえき)の抗原定量検査を求めるなどし、陽性者が出たら濃厚接触の可能性がある人も含め、素早く隔離。さらに、国内在住の警備や輸送などの業務委託関係者からの感染拡大を警戒し、選手村で活動する人の検査頻度を五輪時の4日に1度から毎日に引き上げた。パラ選手は約9割がワクチンを接種していたこともあり、パラの集計を始めた8月12日から今月5日までの選手の陽性確定者は13人、入院者は選手1人、大会関係者1人の計2人にとどまった。行動ルール(プレーブック)の違反での厳重注意は29人、資格認定証(アクレディテーション)の一時停止は1人、剝奪(はくだつ)は2人だった。

 五輪で問題になった暑さは大会中盤までは厳しく、テニスは屋外コートの試合時間が変わったほか、4日までに32人が熱中症の症状を訴えた。終盤は雨に悩まされ、テニスでは1日、3位決定戦が深夜開催となった。大会関係者は「五輪同様、無観客だったので柔軟な対応を取りやすかった」と話す。

 大会を通じて掲げた「安全・安心」が揺らぐ出来事もあった。選手村では8月26日、大会スポンサーのトヨタ自動車が開発した自動運転の大型電気自動車と、柔道(視覚障害)男子81キロ級の北薗新光選手が接触、試合を欠場した。組織委が公表したのは事故翌日の27日で、関係者は「また後手に回った」。ゴールボールではコートに使う消毒液に滑りやすい成分が入っていて、天摩由貴選手が実際に滑ってけがをした。

 無観客が決まったのが開幕直前だった影響もあり、物品が大量に余る事態もあった。パラ期間中に、五輪の20会場で7月上旬からの1カ月でスタッフ用の弁当など13万食を廃棄していたことや、9会場の医務室で余ったサージカルマスクなど500万円相当を廃棄していたことが明らかになった。組織委は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を運営に採り入れていたが、ある幹部は「全体への浸透が低かった」と嘆く。(前田大輔)