「五輪よりパラリンピックが中心になる」 ロボット工学者が語る未来

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聞き手・嘉幡久敬
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石黒浩・大阪大学大学院基礎工学研究科教授

 パラリンピックでは、車いすなどの技術を使った競技に関心があります。好きな競技の一つが車いすラグビー。障害のない人が車いすに乗って参加しても、あのレベルでプレーするのは難しいと思わせるほど、試合内容はとても高度です。車いすの100メートル走もレベルが高い。車いすという技術は障害の有無によるギャップを見事に埋めています。移動手段さえ確保できれば両者は対等に競争できるのですから、健常者も参加して競い合うようになったらいいなと思います。

 カーボン製の義足をつけて跳ぶ走り幅跳びでは、男子で優勝したマルクス・レーム選手(ドイツ)の自己ベストはすでに東京オリンピック(五輪)の優勝記録を上回っています。跳躍は健常者よりはるかにすごさを感じます。人間を定義しているのは肉体ではない。五体満足だから人間らしいということではまったくない。技術を取り込み、技術と融合して進化する存在こそが人間なのだと感じるのです。

 「人間とは何か」。これは人間にとって永遠のテーマといえるでしょう。人間の定義は技術の進歩とともに変わってきました。ほかの動物と違うのは、様々な技術を生み出して自らの能力を拡張し、進化を続けていくことができる点です。

 進化は加速し、いずれパラリンピックの選手の運動能力が五輪の選手を上回り、「超人」による競技が実現する日が来るかもしれません。技術は最初はハンディキャップのある人の支援、つまり、けがや病気などで損なわれた機能を補うために開発が始まりますが、いずれ発展して先端技術が培われていくのです。

 たとえば脳に障害を持つ人が…

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