乳がんサバイバー、おしゃれの力で前向きに

魚住あかり
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 装うことを通して、乳がん治療を経験した「乳がんサバイバー」に前向きな気持ちを持ってもらいたいと、焼津市のブライダルプランナーが先月末、写真撮影イベントを開いた。会場のフィーノ静岡(静岡市駿河区)には乳がん手術を経験した女性たちが集まり、プロの手で美しく着飾って撮影した。

 イベントを企画したのはブライダルプランナーの清水直子さん(35)。「乳がんサバイバーに自信と勇気を与えたい」と知り合いの式場関係者やフォトグラファーに声をかけて開催にこぎつけた。

 清水さんが乳がんに興味を持ったのは、増田郁理さん(43)との出会いがきっかけだった。乳がんで右乳房を全摘出した増田さんは現在、乳がんの啓発活動に取り組む。特に清水さんの印象に残ったのが「乳がんの手術を受けた女性の中には、おしゃれを楽しむことをためらう人も多い」という増田さんの言葉だった。抗がん剤によって、髪や眉毛が抜けてしまい、これまでのようなヘアメイクができなくなってしまうなどの変化で「外にも出たくないという人もいる」と増田さんは話す。

 「ブライダルプランナーの力を生かし、女性の美しさを引き出す手伝いをしたい」。撮影イベントを企画した清水さんにドレスショップのフィーノ静岡やネイリストらボランティアが賛同し、協力を申し出た。

 当日は県内の50代~70代の女性5人が参加。青や黄色など色とりどりのウェディングドレスを身にまとった。スタッフがそれぞれの印象に合ったドレスを選んだほか、がんの治療で傷んだ爪に負担をかけないネイルアートなど、乳がんサバイバーのおしゃれへの工夫も施した。

 同市駿河区の原崎敬子さん(70)は青いドレス姿の自分を見て「気分があがっています。シンデレラの一場面を思い出した」と顔をほころばせた。2013年から半年間抗がん剤治療を受けた。「髪や眉毛、まつげまでぬけたのがつらかった」と振り返る。できあがった写真は、当時の自分を励ましてくれた友人に見せたいという。

 同じくイベントに参加した同区の主婦は、8年前に乳がんが発覚。左乳房を摘出し、再建手術を受けた。3人の子どもを育てながらの闘病生活で精神的に追い詰められ、周囲に打ち明ける余裕もなかった。

 そんな時、末期の乳がんを患う知人から「前向きにがんばっていることを知ってもらうべきだ」と背中を押された。「乳がんに苦しんでいる人にも、こうやって楽しむことができると伝えられたら」と話した。

 「本人だけでなく、家族が喜んでいる様子が見られてよかった」。企画した清水さんは話す。今後も同様の企画を続けるほか、ウェディング業界で働く女性への啓発活動にも力を入れるという。(魚住あかり)