川口の木で玩具作り 中小企業が連携し廃棄木材を活用
緑の少ない都市部の埼玉県川口市内から出るわずかな廃棄木材で玩具を作ろうという「マチノキ・kawaguchiプロジェクト」が始まっている。市内の中小企業や事業所が連携した「オール・メイド・イン川口」の逸品を目指す。
呼びかけたのは木製玩具製造の「こまむぐ」(同市元郷4丁目)の社長小松和人さん(41)。3、4年前から川口商工会議所企業支援課の職員と原材料から製作、販売まですべて川口で完結させる製品ができないかと模索していた。ただ原材料の供給を期待できるほど農林業従事者は多くなく、同社が求める木材を扱う会社も見つからなかった。
それでも同市安行地区が植木苗木生産や造園業が盛ん。造成工事などで伐採された立ち木などの廃棄木材が出る。川口でも多いときは1日40~60トンも出るという。
それらを一手に引き受けていたのが日生グリーン(同市石神)。細かく砕いてオリジナルの有機材肥料「バーク堆肥(たいひ)」やブロックを製造していた。社長の大谷和也さん(36)は「廃木を木材として有効利用して『市産材』と呼ばれるようにならないかと考えていたんです」と話す。
商工会議所の仲立ちで思いが重なった両社。そしてプロジェクトが始まった。
すでに市の花のテッポウユリやベーゴマをあしらった乳幼児向けのベビーチェーン、ペーパーナイフなどが出来上がっている。製品の仕上げは障害者就労支援事業所ヒールアップハウスに依頼。食器などを作る計画も進んでいて扱ってくれる企業や店も見つかり、持続可能な形になってきた。
ただ、このオール・メイド・イン川口で一つ足りないのが製材。丸太を板に加工できる企業が市内に見つからなかった。そこで製材機を購入することを決め、費用200万円のうち150万円分を朝日新聞社のクラウドファンディング(CF)サイト「A―port」で調達することになった。11月5日までに集め、来年5月から一般販売を始めたい考えだ。
こまむぐは4人の小さな会社だが、コロナ禍の中でオンライン販売に力を入れて業績を伸ばした。小松さんは「少量生産でも新しい価値観があれば、大量生産の製品に対抗できることがわかった。すべて川口で作った製品は十分に採算が取れると思う」と話している。(堤恭太)
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