第26回小2の放課後、見知らぬ男から性暴力 「死ぬしかない」消えぬ不安

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塩入彩、編集委員・大久保真紀
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 あの日、声をかけてきた男の正体を、女性(50)はいまも知らない。

 小学2年の春、集合住宅が立ち並ぶ関東地方の住宅街。新学期が始まって1カ月ほどした、よく晴れた日だった。

 放課後に学校近くの公園に行くと、まだ他の子は来ていなかった。帰ろうか迷ったが、一面に咲くシロツメクサが目に入った。《この花で遊んでいれば、そのうち友達も来るだろう》。そう思って公園に入ると、薄緑のジャンパーを着た年配の男が現れた。

 「ちょっと手伝ってくれないか」

写真・図版
子どもへの性暴力第5部① イラスト・花岡紗季

 道向かいに白いバンが見えた。《学校に荷物を運ぶのかな》。そう思ってついて行った。

 しかし、男は車の横を通り過ぎ、歩き続けた。

 《いけない》

 体が動かなかった。成人の男に対して、7歳の非力な自分。その場を離れるための言葉も浮かばなかった。

 周辺は都心で働く世帯のベッドタウンで、通勤時間以外は人通りがぐっと減った。誰か人がいないか見回したが、人影は見えなかった。

 すぐ近くの団地に連れて行かれ、エレベーターで上の階に上がった。

子どもの性被害について考える企画「子どもへの性暴力」第5部は、公園や自宅での被害、痴漢や性的な盗撮など、日常生活に潜む性暴力について取り上げます。

 屋上につながる内階段の踊り…

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