あの日、声をかけてきた男の正体を、女性(50)はいまも知らない。
小学2年の春、集合住宅が立ち並ぶ関東地方の住宅街。新学期が始まって1カ月ほどした、よく晴れた日だった。
放課後に学校近くの公園に行くと、まだ他の子は来ていなかった。帰ろうか迷ったが、一面に咲くシロツメクサが目に入った。《この花で遊んでいれば、そのうち友達も来るだろう》。そう思って公園に入ると、薄緑のジャンパーを着た年配の男が現れた。
「ちょっと手伝ってくれないか」
道向かいに白いバンが見えた。《学校に荷物を運ぶのかな》。そう思ってついて行った。
しかし、男は車の横を通り過ぎ、歩き続けた。
《いけない》
体が動かなかった。成人の男に対して、7歳の非力な自分。その場を離れるための言葉も浮かばなかった。
周辺は都心で働く世帯のベッドタウンで、通勤時間以外は人通りがぐっと減った。誰か人がいないか見回したが、人影は見えなかった。
すぐ近くの団地に連れて行かれ、エレベーターで上の階に上がった。
子どもの性被害について考える企画「子どもへの性暴力」第5部は、公園や自宅での被害、痴漢や性的な盗撮など、日常生活に潜む性暴力について取り上げます。
屋上につながる内階段の踊り…
- 【解説】
水着で隠れる体の大切な部分を「プライベートパーツ」と呼んでいます。①そのプライベートパーツは見せない、触らせない、人のも見ない、触らない②もし触られそうになったら、「見せて」といわれたら、「イヤ」と言っていい③もし見られたら、触わられたら
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