銭湯ブームでも逆風止まらず コロナ禍で店主「時代終わった」

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今泉奏
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 銭湯の減少に歯止めがかからない。経営者も利用客もともに高齢化。経営難と後継者不足が深刻だ。コロナ禍がきっかけとなって廃業を決めた老舗銭湯の最後の日を取材した。

「銭湯がなくなるのは自然の摂理……」

 8月31日午後3時半、名古屋近郊の愛知県一宮市にある「はなぞの湯」が最後の営業日を迎えた。3代目店主、犬飼一雄さん(75)の「いらっしゃい」という言葉を背に、常連客らがのれんをくぐる。初代の祖父が遅くとも1924(大正13)年にこの地で銭湯を開いたという。以来、100年近く営業を続けてきた。

 昨年春、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスに感染して亡くなったころから、客足が遠のき始めた。今年初めまでには例年の8割ほどまで減り、廃業を決めた。「やめる理由はコロナが半分以上。客が減り、銭湯がなくなるのは自然の摂理だとも思う」

 コロナ禍前までは、わずかながら黒字だった。ただ、続けるためには老朽化したボイラーや機械の買い替えが必要で、1千万円はかかる。燃料の重油代もかさみ、入湯料440円だけでは採算はとれなくなってしまった。コロナ禍で先も見通せない。

 コロナ対策の公的支援は、売…

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