NHK元部長が30年後に出した辞表 背中押し続けた先輩の「遺言」

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聞き手・斉藤太郎
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 NHKで「NHKらしくない」記事を発信してきた元ネットワーク報道部専任部長の熊田安伸さん(53)が、早期退職して生まれたばかりのウェブメディアに移った。目指すのは、スピード重視の逆を行く「スロー」な調査報道。背中を押したのは、入局して3カ月で書いた辞表を机の奥にしまわせた、ある先輩の「遺言」だった。

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NHKからSlowNewsに移った熊田安伸さん=SlowNews提供

 ――定額制のウェブメディア「SlowNews」のシニアコンテンツプロデューサーに就いたそうですね。

 SlowNewsは、じっくり取材した調査報道のプラットフォームを目指しています。今年2月にスタートしたのですが、私は7月末にNHKを退職し、8月から加わりました。

 月額1650円の読み放題で、オリジナルの記事や海外の優れた報道の翻訳記事のほか、300冊を超えるノンフィクションの書籍を読むことができます。書籍は今後も、週に10冊程度、増えていきます。調査報道に取り組むジャーナリストに費用やノウハウを支援していくことを考えています。

 ――なぜ移籍を決断したんですか。

 純粋に調査報道をやりたいと思ったのが理由の一つです。僕はNHKでそれなりの立場になり、いろいろな雑務も抱えるようになっていました。SlowNewsからのお誘いを受け、残りの記者人生はジャーナリズム全体の底上げにつぎ込みたいと考えました。

熊田さんの人生に影響を与えたのは、駆け出しの事件記者のころ、悩んでいた自分に気付きを与えてくれたある先輩の助言だったといいます。

 ――今のジャーナリズムは底上げが必要な状態ですか。

 「マスゴミ」なんて言葉があ…

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