南陽市・東大先端研・南陽高校、次世代育成巡り教育連携
包括連携協定を結んでいる山形県南陽市と東京大学先端科学技術研究センター(先端研)が今年度から、県立南陽高校を舞台に同市を今後担う人材育成に取り組む。先端研が持つ専門的な知見を生かし、高校生自らが地域の課題を発掘し、その解決を考える取り組みを進め、地域づくりにつなげたいという。
南陽高校では地域について学ぶ探求学習の授業があり、昨年度はボランティアサークル「南陽高校市役所部」が発足。地域の魅力づくりに貢献しようと、今年度は市内の果物を使ってジェラートづくりに取り組んでいる。市も今年度の一般会計予算に「魅力ある高校教育支援事業」として50万円計上、同部の活動などを支援している。
一方、先端研は今年度、次世代の育成に取り組む「先端教育アウトリーチラボ(AEO)」を内部に組織化。「先端研ならではの文理融合、分野横断的な教育プログラムを教育現場と共につくり、提供していく」ことを目指して活動を始めた。
AEOを担当する先端研の杉山正和教授は南陽市と南陽高校の取り組みについて、「非常にユニーク」と注目。AEOの第一弾の取り組みとして、「南陽市で地域に根ざした教育アウトリーチを、一から作り上げるプロジェクトを立ち上げた」という。
今後、市や高校生、先端研の研究員らがワークショップなどの対話を通して、地域の課題を発掘。その解決策について、先端研が助言や指導もしたうえで、高校生自身が解決策を模索して市に提言、さらに実践していくことを試みていくという。
市と南陽高校、先端研の共同発表が7月27日、同市役所であり、木村智行校長は「高校生が地域で活動し、認めてもらうことで自尊感情を持つことができ、進んで学んでいけるようになると思う」と話した。現在、市役所部で活動する13人に限らず、学校全体で取り組んでいくという。
先端研の杉山教授は「柔軟な発想を持ち、やる気に満ちた高校生がいる南陽市は魅力的な場所に見えた。地域課題の解決の手法、連携の仕方を南陽市で考え、その結果をほかの自治体でも展開していきたい」と話し、白岩孝夫市長は「先端研の知見を取り入れ、人材育成の取り組みを加速化させたい」と話した。(石井力)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら